2014年、あるところに
7つの魂にだけ恋をする
ちいさな蟻がいました。
彼女は人間の世界にいつも憧れ、
7つの魂を感じることを夢見ていました。
そんなある夜でした。
蟻の巣の奥の奥、
仲間が寝静まった21時過ぎ。
昨夜の雨でできた小さな窓に
彼女よりもずっとずっと大きな光が降り注ぎ、それを纏った魔法使いの蟻はこう言いました。
「いまがいちばんと思うなら、その身体を一切捨てなさい。1年間だけ、人間の姿にしてあげましょう。ただし、もしも7つの魂どれか1つにでも触れてしまったら、蟻の姿を見せながら目の前で消えてしまうでしょう」
こうして、彼女は人間の世界を目にすることになりました。
いまいち名前のなかった彼女に、魔法使いは“ari”と名付けました。
「世界でいちばん大切な人を愛で包めるように」
この言葉の意味を彼女が理解するのは、
もう少し先になりそうです。
ariは思いました。
きっと、いまがいちばん。

to be continued...
