病院に到着すると私は待合室へ通された。

まずは母に電話をする。

不安なんかね救急隊の人達が結構心配してて怖くなった。救急車呼んで良かったみたいだよ。

トット(主人)に電話してくれた?

などとまだ胃腸炎だと思いこんでる私は不安はあるけれど病院へ来たから きっと点滴をして良くなるもう大丈夫だ。

そう思っていた。


だけど待てども待てども全然呼ばれない..

遅くない?

遅すぎない?

点滴だけだよね?

歩いている看護師さんを呼び止めたりもした。

予防接種検査が終わったら呼ばれるのでお待ちくださいね。

ドアが開く度に背伸びしてみたりして覗き込むも見えなかった..


そしてその時が来た。

予防接種長女ちゃんのご家族の方〜

呼ばれた部屋へ入るも一瞬で空気を読んだのかあまり覚えてないんだけど

あぁ良くない状況なんだと悟って身がガクガク震えた。

お医者さんが話している言葉が遠くで聞こえている様だった。

予防接種脳出血を起こしています。今、処置や検査をしているので、もう少しだけ待っていてください。

全身の力が抜けて崩れるように座り込んだ。

でも先生のズボンを鷲掴みにして

悲しいどうか長女に合わせてください!長女の側に居させてください!

そう頼んだ。

少しだけならと会わせてもらえることになった。


処置室に入る前に

予防接種お母さん、これから長女ちゃんの前に行きます。ここから先は母として入って頂きます。

どうか長女ちゃんの前だけでは泣かないでください。

そう言われた。

グッと気持ちを奮い立たせて涙を拭い

全身に力を入れて自分でしっかり立った。

支えてくれる看護師さんにも必要ないと伝えて中へ入った..

救急車の中では髪を掻きむしったり足をバタつかせて苦しそうにしていた長女が意識なく寝ていた。

溢れ出しそうな涙と感情を抑えて

あんぐり長女、もう大丈夫だよ。偉かったね。

頑張ったね。ママいるからね。これからトットも来るよ、もう大丈夫だよ。

と頬や頭を撫でて胸に顔を埋めた。

それだけのほんの数分間だけで また離された。

個室へ入るとまた泣き崩れてしまった。

だけど、主人へ連絡をして急いで来て貰わないとと電話をかけるも不在。

その時主人は胃腸炎だと思っていたので仕事の打ち合わせに出ていた。

母へ電話して状況を伝えた。

母も息を呑んで動揺しているのが分かった。

でもすかさず母は私の母に戻りシャンとした声に戻り物申すいい?あの子は強い子だから大丈夫!!絶対大丈夫だから貴女もしっかりしなさい!!次女の事や家の事は何も心配いらないから、しっかり気持ちを持って側で守ってあげなさい。

そんな事を言っていた。

でも私は長女の居ない所では全然駄目で力が全く出なくて椅子に座る事も出来ず床にペタンとタコのようになっていた。

怖さや不安、申し訳なさなど沢山の感情でウワーンと泣いたかと思えば

しっかりしなきゃ!!とピタっと泣き止んだり

また想いが溢れてウワーンと泣いたり

側からみたらきっと異常だったと思う。


お医者さんが入ってきて

予防接種検査の結果、出血も多くこちらの小児科医では対応出来ないので子供医療センターへ転送させて頂きます。

また、簡単な検査のみですが、外傷はなく妹さんとの喧嘩が原因では全くございませんので先急ぎお伝えしておきます。

そんな事全く思ってもなかったけど

そっかだから皆一様に次女を気にかけてくれていたんだとその時合点した。

その時丁度主人から電話が来て脳出血の事を伝える事まではどうにか出来たけど

転送の話しは伝えられず看護師さんが代わって伝えてくれた。

そして立てない私のために車椅子が用意されて救急車へ乗る事になったけれど

不思議と娘の側ではしっかりできるようで

娘の所へ行くとなるとスクッと立ち上がる事が出来た。涙も止まった。

そして救急車で子供医療センターへ転送された。