サイドデスクに積まれた文庫本の山から、ようやく「ドライブ・マイ・カー」を見つけだし、冒頭のくだりの部分を少しだけ読んだ。
正確には「ドライブ・マイ・カー」ではなくて「女のいない男たち」というのが正解なのだけれども。
特に意味もなくお腹が空いてきたので傍らのベッドで横臥している彼女に
「今日の夕飯は担々麺を食べてみたいんだ」
あまりに唐突過ぎたのか、ベッドのなかの彼女は、よく分からないなという顔をした。
今日も彼女は同行してくれないらしい。
仕方がないので、僕は一輪車のイラストの描かれたファンシーケースからお気に入りのコーデュロイのパンツを取り出して、おまけにフレッドペリーのポロシャツまで手に取った。
もう辟易するくらい歩いてきた早稲田通り。
高田馬場、池袋、護国寺。
6番出口で地上に現れると、そこは講談社であった。
つまり方向音痴の僕が間違いを犯していないということを意味していた。
そう、このまま真っ直ぐ歩いていけば、正解はそのうち見えてくる。
ああ、疲れた!
前から食べたくてウズウズしていた担々麺
期間限定だから、ちょっと心配だったけど
まだ、券売機にエントリーされてました
和牛担々麺と
せっかくだから和牛ユッケも美味しそうなので、勢いあまってポチり
もちろん、
マツコさんも絶賛、西京味噌の味玉もポチり
まずはスープをひとくち
あら、麻も辣もおしとやか
その分、芝麻醤が主張してくるタイプ
胡麻の風味が鼻腔をくすぐって
まぁ、美味しいこと
このユッケがまた美味いこと
これは我慢できませぬ
慌てて懐中から150円準備して
すみません、店員さん
ご飯の追加をお願いします
うふふ、卵黄をよくユッケと混ぜ混ぜして
ユッケ丼にしちゃいましたよ
うん、牛肉のねっちょりした甘味
こりゃ、堪らんわ
さらに西京漬けの味玉も投下した日にゃ
これはもう最強のブースターでございますわ
ユッケ丼に気をとられてましたが
いざ麺をリフトしてみると
こ、このでろでろ麺は
ふわっとした口当たりに、噛めばもっちりの
もち姫さまではありませんか
これは嬉しい誤算だわ
つけ麺がもち姫なのは知っていたけど
担々麺ももち姫だったのですね
しかも、すげー旨い
僕の好きな日陰さんタイプだわ
最後はユッケ丼を半分ほど食べて
残りは担々スープに全部ぶっこみました
はい、
いつもの担々リゾットで
完食完飲でございます
いやぁ、めちゃくちゃ旨かったわ
ちょっと興奮して店員さんに根掘り葉掘り訊いてしまった
やっぱり麺はもち姫で、リクエストしてくれれば細麺にも変更可能とのこと
担々麺をいつまでやるかはまだ決めてないとのこと
いやぁ、こんなに美味しいのに止めるのはもったいないですよ
僕は思わず店員さんにお願いしてしまった
久しぶりに食べたユッケも旨かったなぁ
僕が思い出したように云うと
彼女は少しだけ悲しいような顔をして
「それでお土産は?」と云った