'おしまいに'を読んだ

以下引用文

平均点は駄目でも、ツボにはまったら起爆力がある。そのツボを鍛えなくちゃね。それは一見したところ不安定な生き方のように見えるけれども、馬ごみの中にいたって、思ったよりも安定はしない。ただ、劣等生は独特の鍛え方をみずから買って出ないと駄目。

それじゃ、な。

うらおもて人生録  おしまいに━の章



早稲田通りまで出ることがわりかし大変なときがある。

黒猫が横切りそうなときとか

息がつまりそうになる

黒猫もそれを重々承知しているのだろう

溜める

そうすると、お互いが対峙しているまんまになるから意固地になる

でも、僕は人間であるからして

負けるわけにはいかない

すると、僕の意を悟ったのか

黒猫は視線を崩さずに僕の目の前を横切っていく

今日は縁起が悪い日なのかもしれない

そう、こういうことは霏霏とするものだから

とみに気をつけたい



さかえ通り

今日は雨が降っているのでまっすぐ

高田馬場の駅前のほうから

でも、目指す場所はおなじ

そして、今日は

なすと肉のしょうが焼き


なすが美味しかった

すっかり忘れていたけれども

なすも旬だ

「ご馳走さまです」

大将とは何か話したかったが話せなかった

一昨々日、はじめて話せたので

少々照れくさい



もう、帰らなければならない

今日は来客がある

約束まであと20分くらい

どちらかといえば怪しいにカテゴライズされる客なのだが

たった今

電車のつり革に揺られながら、僕の家を一直線に目指している

そう思うと

色川先生が教えてくだすったとおり

なにか怖い