'桜島を眺めて'を読んだ
以下引用文
鹿児島の人たちは、眼の前に桜島があるものだから、いつも自然の大きさ、恐ろしさを眺めているからね。物事というものを、なめることができにくい。
鹿児島には、絶望の気配があるんだな。人間同士が比較し合わないで、なにもかも、桜島と比較してしまう。ほかの街にはない屈託が、俺をとてもひきつけるんだな。
人間というものは、水平にバランスがとれているものじゃなくて、皆、どこかにかたよっているんだよ。ただ、そのかたよりかたが、仕事と関係のあるところでかたよっていると、変な人と思わない。仕事でないところにかたよっていると、変人だ、ということになるがね。本当は、変人タイプの方がゴツくて確かな肌ざわりがあるね。
うらおもて人生録 桜島を眺めて━の章
僕はターミネーターの頭をトイレットペーパーのストックが置いてあるトイレの棚に飾っている
「気味が悪い」
タマコは用を足す度に文句を言うのだが
トイレにターミネーター
なぜ、駄目なんだろう?
僕は今日になって訊いてみた
「だって、トイレは闘うところではないやろ」
と、彼女は言った
今日の僕はいつものように迷っていた
早稲田通りから旧ぶぶか跡地のまえを折り
ラブホストリートの袋小路で
あえて、
山手卓球の様子を眺めてしまった
僕は、うろうろとさかえ通りにでる
今日の洋包丁
昨日より混んでいる
嬉しくないけど嬉しい
僕はさかえ通りを抜けて、高田馬場ロータリーから神田川方面へ
目の前にある橋を渡ると
「かみたかばし」と書いてあった
ブックオフで三島由紀夫の文庫本を買う
まえから読みたかった孔雀が載っていたからだ
じゃあ、せっかくなんでと
これも前から観たかった希島あいりのDVDも買う
僕は三島由紀夫集と希島あいりの3P解禁を持って会計の壇上へ
キャッシャーの男性店員さんは
差し出した僕を一瞥し
やるなお主と言ったような視線
いや、待てよ
はたして、本当にそうなのだろうか
いやいや、ちょっと待て
いま、差し出した
この僕の三島由紀夫集と希島あいりの3P解禁という二つの作品のチョイス
まさにそれは、カルピスの原液を薄めて飲むような、ごくごく自然的な行為であるはずなのに
実はそうではなくて
既製品のカルピスウォーターを、あえて薄めてしまったような稚拙さを嘲笑してるかのような視線
ともとれないだろうか
うむむ、これはややこしくなってきたぞ
でもね、
今どき、カルピスウォーターを、あえてウォーターで薄める奴なんているのかしら?
僕は難しい顔で会計を済ましてしまった
そこからはよく憶えてないが
ブックオフを出て橋に出た
そしてまた、目の前にある橋を渡ると
そこには「神高橋」と書いてあった