彼は怒っていた
「袋とじなのに何でテープで貼り付けてんねん」
どうやら表紙に貼り付けてあるテープに腹を立てているらしい
「どうせ袋とじで見えへんのやからええやん。しかもなかなか剥げへんし」
彼は苛立っていた
「あーあ、紙まで剥げてもうたやん」と云うので
「あーあ、かみまではげたねえー」とアタシが繰り返すと
「うるせー、その髪ちゃうわ」と云って、もう袋とじにハサミを入れている
「ホンマめんどいわ~。この前なんかもっとひどいねんで。袋とじやのにビニールかぶしてん。ほやのに表紙もテープやて。ホンマお先まっくらや。ビニール剥いで、テープ剥いで、袋とじ剥いでって、わしゃらっきょむく猿か」
かまびすしい彼はやっと天守閣にたどり着いたらしい
ひとりごちている
手持ちぶさたなのはアタシだ
「なぁ、にこるんはええからさ。早くやろうよ」
「やろうって何を」彼の視線は動かない
「やるって決まっとるやん、あれやがな」
そう言って
私は毛布をちらりとめくった
「しゃあないな、じゃあ早く履きなさい」
「履く?履くって何を」
「はぁ、んなもん決まっとるがな。そこにパンタロンが落ちとるがな」
と云うと私が無造作に脱ぎ捨てた赤いパンタロンを手に取り私のほうへ放った
はい?
彼の意図していることがよくわからなかったが
パンいちの私は
よろよろとベッドから起き上がり
言われたとおりパンタロンを履いた
するとその瞬間だった
彼は私に向かってダイブし私を激しく押し倒した
そして、
顔をすぐに私の下腹部へと下ろしていき
「タマコちゃ~ん、いつもホント可愛いでちゅね。さぁ脱ぎ脱ぎしましょうね、赤いパンタロンちゃんを」
と言って
彼は嬉しそうに私のパンタロンに手を掛けた