タマコは「右曲がりのダンディー」と「私をスキーにつれてって」の二本を借りるという
僕も一本借りることにし、カウンターに持っていった
帰りしなタマコが訊いた
「カウンターに出すときにさ、おまえが借りたやつアタシが借りた二本と挟んだやん
あれ何で挟んだん?
きっとあれやろ、カウンターのお姉ちゃんが
ごっつぅ可愛かったからやろ」
相変わらずうるさいやつだ
僕が借りたビデオがエロいやつと知ってて、
からかってるのだ
「 しかしさぁ、あのお姉ちゃん笑いこらえるの必死やったで
キミの姑息な手段バレバレやん」
「うはは、わかってないのはチミだよ
あれは笑ってんやないで、恥ずかしがってん
チミにはまだわからへんやろな、
あの羞恥心をオブラートに包んだような
あのお姉ちゃんの赤ら顔のエロさが」
「つくづくおまえはアホやな、
なぁ、今どきさぁ『団地妻の乱れ貝』というタイトルを見て
あら恥ずかしい
なんていう女子なんかおるわけないやろ
何が乱れ貝や、昭和やあるまいし
恥ずいどころか笑ってまうわ」
「ほうやろか」
僕は間違ってたのだろうか
でも僕は僕の中の一番大切な部分を、あのお姉ちゃんに垣間見られたような気がしたんだけど…
「サンドイッチはね、パンより中のキュウリが一番おいしいの」