ブログネタ：芸能人の小説読んだことある？ 参加中私はある派
遅れたのか、遅れなかったのかよくわからなかった
玉がついたレバーに耳を近づけると
ヒューとだけ言った
相変わらず
遅れたのか、遅れなかったのかよくわからなかったので、僕は無性に腹がたった
ヤスは遅れたんだ
不意にそう言うと、BARを上段に止めてみせた
すかさず僕が隣から右リールに七を狙うと
当たり前のようにヤスの七は下段に停止して
どどんと言った
ヤスがとどめと言わんばかりに中リールを押すと
何かがはじけるように中リールはパンと言った
うわっ、僕が小さく声をあげると
思い思いの花火がヤスの３本のリールに打ち上がっていく
綺麗だな
僕がそう言うと
ああ、綺麗だ
ヤスもそう言った
パンとはじけたヤスのリールは彼の顔を映しだしたかのように、真っ赤に燃え上がっていた
又吉さんの「火花」を読んだ
タイトルの「火花」には色々な思いが隠されている
いや、隠されているという表現はいささか間違えている
今にも、スパークしそうなくらい生命感に満ち溢れているからだ
もはや、隠しようがないだろう
ここに儚さは微塵もないと僕は思う
圧巻のラストシーンがそう答えている
又吉直樹という芸人としての矜持をまざまざと見せつけられた
パンとはじける
僕はあの頃のヤスにとても会いたくなった
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芸能人の小説読んだことある？
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