Priceless Moment Vol.24

 

「ありがとう」って

心から言ったことある?

「ありがとう」って

ちゃんと目と目と合わせて伝えたことある?

 

私は、ありがとうって言いたかった

一番言わなきゃいけない人に言えなかった

 

いつでも言えるって思わないで

言える時に伝えてほしい

 

「ありがとう」の気持ちを心から。

 

 

大好きな母を亡くしました。

闘病生活を送っていたので、いつかは見送らなければならないと覚悟はしていました。

でも、こんな急にお別れをすることになるなんて・・・。

 

電話口でいつものと様子が違うので胸騒ぎがして病室に駆け付けた日。

車中で、ありがとうって伝えなきゃって思っていました。

 

でも病室についた時に、辛そうにしながらも笑顔で「どうしたの?大丈夫なのに。無理してきてくれなくてもよかったのよ!」と迎えたくれた母の目じりに涙の跡がついているのを見て、私はもう「ありがとう」が言えなくなってしまいました。

ありがとうってちゃんと伝えたいって思っていたのに、ありがとうを言ってしまうとお別れの言葉みたいになってしまいそうで・・・

 

でも結局それが私と母の別れとなってしまいました。

たわいもない話をして、手を握って・・・眠りにつく母を見つめて過ごした時間がどれだか貴重なものだったか・・・。

 

もっともっとよく見つめておけばよかった。

もっともっとちゃんとまじめな話をしておけばよかった。

ちゃんと心からありがとうって伝えればよかった。

 

次の日の朝、病院に駆け付けた時にはもう意識がなく、私と父と私の息子が見守る中息をひきとりました。

 

母は昔から私の1番の応援団長でした。

私の可能性を一番信じてくれていつも励ましてくれて。

だから私は何をやっても母の期待に応えたいと、いつでも全力で取り組んでこれたんだと思います。

 

フォトグラファーになった時もそう。

私の1番ファンであってくれたのが母でした。

 

「かのちゃんのお写真、プロみたい!」っていうのが母の口癖で。

そのたびに私は「お母さん、お金もらっているんだから私も一応プロなのよ!」って反論?して・・・。

すると母は「そうだったよね。そうなんだけど、ついつい写真が綺麗で・・・そう言っちゃうのよね」って・・・。

 

母を失った寂しさをどう埋めたらいいのか分からず、葬儀を終えて自宅に戻ってきた次の日、カメラを持って子供たちと外へ出かけました。

写真なんて撮る気分ではなかったのだけれど、何かしていないと思い出して泣き出しそうで。

 

母のいない世界はまるで太陽を失った世界のように思えたけれども、ファインダーごしに見えた景色は意外にも変わらず美しかった・・・・

 

写真を撮ることで私の心は随分と癒されました。

写真ってセラピーなんですね。

 

しばらくは仕事なんて復帰できないって思ったのですが、写真を撮ることで私は前に進んでいきたいと思います。

 

私は、私の写真を・・・撮り続けていこうと思います。

 

皆さま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。