生まれて初めて恋をしたドナルドは、思い切って告白しました。
「ボクと付き合ってください! ランランルー!」
「いや」 美しい少女は即答しました。
あまりにも素っ気ない言葉に、ドナルドは思わず聞き返します。
「もしかしたら『いや』とおっしゃいましたか?」
「そう、いやよ」
「悪いところがあれば直しますから、少しは……」 切ない瞳のドナルドは言葉に詰まります。
「あなたの悪いところ?」
「はい」
「わたし色白の顔の人が苦手なの。それと、ボサボサの髪もだらしないわ。あとね、しましまが嫌いなの」
少女の容赦ない言葉に、ドナルドは打ちのめされました。もう、完全に、自分の存在の全てを否定されたのですから……。
そんなちょっとした出来事があった日からしばらくの間、ドナルドは自分の不気味な白顔を治そうと努力しました。けれど、なにか強力な呪いがかかっているらしく、どうしても治りません。
「ダメだ……。もうボクの白顔を好きになってくれる人を探すしかない……」
そう諦めをつぶやいたドナルドは、せめて自分のボサボサの赤毛をサッパリさせようと、理髪店に向かいました。ところが、いつの間にでしょうか、家の隣に理髪店が新装オープンしていました。
店の漆黒の看板には、『本日のお客様全員無料、確かな技術と信頼のお店、モスバーバー』と白文字で書かれていました。ドナルドには、なんだか気になる看板です。
「ん? モスバーバー? う~ん。ちょっと中の様子が見たいかも?」
そんな興味本位な気持ちでお店に入ると、自分以外のお客さんは居ません。なのに、マスクとサングラスをした白いゴム手袋の店員が10人ほどズラリと並んでいました。
なにか変な店だと感じながらも、ドナルドは散髪椅子に腰掛けました。そして、椅子の背もたれを倒されると、急に眠気が襲い、いつのまにか眠ってしまったのです。
「やりましたね博士」
「こんなにも簡単に、ドナルドを捕獲できるとはな。フフフ」 博士と呼ばれた男は、不敵な笑みを浮かべました。
「では、早速改造ですね!」
「もちろんだとも。これで我が組織のハンバーガーチェーンは安泰だ」
どれぐらいの時間がたったのでしょうか。ドナルドはようやく目を覚ましました。
「よく眠っていたようだね。いい夢は見られたかい?」
「もう終わったのですか?」
「そうだよ。君はずいぶんと長い時間眠っていたからね。さあ、鏡を確認しておくれ。きっと気に入ってもらえると思うよ」
ドナルドは鏡に映った自分の新しい姿に、少し驚きました。
「どうだい? 君もなかなかの男前になったと思うだろう?」
「そうですね。ありがとうございました」 新しいヘアスタイルに違和感を覚えながらも、まんざらでもない様子のドナルドでした。
ところがです。新しいヘアーを手に入れたことで、ドナルドは大切なものを失ってしまったことにあとで気づくのでした。
翌日、お店に出勤したドナルドは、いつものように謎の生態呪文を発しました。
「ラン、ラン、ル~♪」
お客さんが寄って来ません。いつもなら直ぐに大勢の子供達が集まってくるのですが……。
「ラン~ラン~ルル~~♪ ラン~ラン~ル~ル♪」
踊りも付け加えて客引き呪文を連呼しました。
ところがです。
「お母さん……あの白い人怖い……」
「見ちゃだめよ。きっと怪しい団体のひとだから。ほら早く行きましょう」
ドナルドはあまりのショックで、うつぶせに倒れました。まるで赤と黄色の横断歩道のようにです。
そんなこんなで、お店には誰も寄りつかなくなり、人気者で優遇されていたドナルドは、
「戻しなさいよ! そのヘアー!」
「お前のヘアーのせいだ!」
と、悪の権化のように冷たく扱われるようになったのでした。
ドナルドだって努力しました。ヘアスタイルをなんども元に戻そうとしたのです。ところがです。なんどヘアスタイルを直しても、いつの間にか今の形になってしまうのです。まるで形状記憶毛髪のように。秘密組織「モスバーバー」に、なにかの改造されたことは間違いありません。
そこでドナルドは、考えに考えた末、
「分かりました店長。ボクが体で稼いで、70%OFFのクーポン券をばら撒きます。これならまたお客さんも戻ってくるはずです!」
と提案しました。
この大胆な提案に、店長も期待し、ドナルドを送り出すことにしました。
ドナルドが選んだ新しい仕事は、悪の組織を壊滅させために結成された傭兵部隊のソルジャーでした。危険な分だけ、報酬は高額です。このお金をつぎ込んで、赤字のクーポン券をばら撒こうというのです。
不幸なドナルドマクドナルドの運命はいかに! つづきは動画で! おしまい。
【ポイントまでつく格安クーポン券も魅力です】

【ドナルドの戦いの日々】





