洗濯物を取りこもうとベランダに出ていると

遠くから

○○さーん!と小学生ぐらいの男の子?女の子?の声が聞こえてきた。

 

 

タッタタタッ♪ ○○さーん!!

 

 

キュッと自転車の止まる音がして、おじいさんがその声に答えている。

「ああ、○○ちゃん、あれ?なんだか大きくなったねぇ。こんなとこで、どうしたの?」

 

 

「○○さんが通るのまってたの!」

 

 

おじいさんの嬉しそうな気配がベランダまで漂ってくる。

 

 

「ニコルは元気?」

小さな子は、おじいさんの猫と仲良しのようだ。

 

 

「ニコルは、いなくなっちゃったんだよ・・・」

・・・・・

「さみしくなぁい?」

・・・・・

「寂しかったけど、月曜日に大きな犬がきたんだよ。

 ハスキー犬って知ってる?こんどまた、遊びにおいで。」

 

 

こんなやり取りの後、

「じゃーねーバイバーイ!」と、自転車とは反対方向に走っていく足音が聞こえた。

 

 

ほんの数分の出来事だったのだけれど

ベランダにいるわたしまで、なんだかあったかい気分になった。

 

 

そして、家事の続きをしながら

以前、犬娘と公園でお散歩をしていた時のある出来事を思い出した。

 

 

「ナホちゃーん!」

わたしは自分が呼ばれているのかと思ってすぐに振り返った。

どうやら呼ばれていたのは、わたしではなく

元気に遊んでいる小さな女の子だということがわかって

ちょっとした偶然にウキウキしたのだ。

 

 

ちょうど、その小さなナホちゃんが近くへ来た時

「ナホちゃんていうの?わたしもおんなじ名前なの♪」

と、軽い気持ちで話しかけてみた。

 

 

すると

ビクッ!とした顔をしたかとおもうと、

急に硬くなった表情のまま、小さなナホちゃんは

ものすごい勢いで、その場から走り去ってしまったのだ。

 

 

とり残された犬娘とわたし・・・

 

 

ちょっぴり悲しい気分でお散歩から帰ってきたのだった。

 

 

そんな出来事を、子供をもつ友人に話してみたところ

大笑いしながら

今は昔より厳しく学校でそう教わっているから、と。

 

 

知らない人と外で口をきいちゃいけない。

名前をきかれても答えちゃいけない。

犬や猫を連れてニコニコしてる人なんてもちろん!

ついていっちゃいけない。

ほら、昔と違って、外で名札つけてる子っていないでしょ!

というのである。

 

 

なるほど。

 

 

小さなナホちゃんにしてみれば、

即座にわたしは、怪しい人に認定されたわけである。

 

 

あの場でわたしと会話を続けようものなら

お家へ帰って叱られてしまったかもしれないのだ。

 

 

もちろん、わたし達が子供の頃も

同じようなことは言われて育ってきたのだけれど・・・

 

 

育った環境、そこでの体験・・・いろいろな背景によって

物事をとらえる感覚というのは面白いくらい人それぞれだ。

同じひとつのモノをみても、

まったく正反対の印象を持つなんてこともあるだろう。

 

 

わたし自身、自分のなかにある、今までに培った情報をフル回転させて

即座に、コレ!マルか?バツか?!

無意識に何かを判断している・・・よな。

と。

 

 

じゃあ、もし、この判断(ジャッジメント)がなかったら。

 

 

無意識に物事を決定している判断基準が

今までと、ちょっとだけでも違ったら・・・

 

 

いったいどんなことになるんだろう?

そこには、どんな世界が拡がっていくんだろう?

そこは、もしかしたら、ものすごく平和なところじゃないだろうか?

 

 

もし、あの時

小さなナホちゃんとお互いちょっとだけ違う状況で出会っていたら・・・

年の離れた仲良しのお友達になれたかもしれない。

 

 

そんなことを考えていた矢先

実にタイムリーな内容の説明会に参加してきたので

引き続き、レポートしたいとおもいます。