原色 木材大辞典170種 ・ 村山 忠親 - 著、村山 元春 - 監修 | プレミアムギターズ

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最近ライブ・レポートも増加中。今年こそは、プチ・プライベート・スタジオ計画を実現したい・・・。

 本書の発行元の誠文堂新光社は、雑誌「子供の科学」などで、文字通り子供の頃からなじみがあり、懐かしい感じがしてしまった。表紙に「日本で手に入る木材の基礎知識を網羅した決定版」、「木目、色味、質感がひと目で分かる!」とある様に、全体の7割ほどが色々な木の木目のいわば図鑑で、後半の3割ほどが木材の基礎知識の解説となっている。基礎知識といっても、項目のタイトル(「解説 木材取引基礎知識」など)からも分かる通り、一般向けというよりは木材に関わるプロ向けの内容となっているが、説明が非常に分かりやすいので、素人でも面白く読むことができる。


 さて、その様な解説も非常に興味深いものの、個人的には本書の大きな魅力は、170種類もの木材の写真と解説である。針葉樹と広葉樹、更に広葉樹は硬度別に三つに分かれ、1ページに1~2種(一部の木は1種類で3~4ページ)の木が取り上げられ、木目の写真と解説が載っている。「日本で手に入る木材」ということで、国産材だけではなく、世界中の木材が載っているが、それぞれの木材のページに世界地図(国産材は日本地図)上の分布図があるので、どこで採れる木なのか一目で分かる様になっている。ただ、どうしても「ギターで使えるかどうか」ということを考えてしまうので、それぞれの木の重さ(比重)が載っていないのがちょっと残念だ。


 一つ一つの木材の写真を見、説明を読んでいると、時間を忘れてしまいそうだ。この木をストラトのボディーにしたら面白いんじゃないか、とかこれは指板材に使えそうだ、とか自分でギターなど作ったこともないのに、妄想が広がってとても楽しい。


 著者と監修者の名字が同じだったので、親子二代なのかと思っていたらご兄弟だったが、お兄さんの村山忠親さんは2006年に亡くなられたそうだ。本書の発行が2008年だから、弟の村山元春さんがお兄さんの分も引き継いで本書を完成されたのだろう。弟さんの書かれたあとがきにもお兄さんのことは一言も書かれてはいないが、「木材問屋の三代目」というお二人の「木」への思いが感じられる本である。