preminecmas1982のブログ

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 久し振りの酒に酔い、 夜道を歩く。  夜道というより、光の道と言った方が 良いかもしれない。  私の棲むO市は東京や横浜と言った 首都圏の大都市に比べれば色あせるが それでも地方都市としては、なかなかの 規模を誇っている。  そのため、夜でも、よほど変なところに 行かない限り、街灯の灯りがいたるところを覆い、 大して昼間と変わらない明るい街だ。  その明るい街の中を、ほろ酔い気分、 悪酔い、2日酔いになる前の状態で 家路に着く。  Nの酒場を出たのがちょうど、 夜の2時。  午後ではなく、午前の2時。  よく言う「午前様」というやつだ。  午前になっても賑やかな繁華街、歓楽街を抜け、 橋を渡り、だんだん淋しい方に足を向ける。  昨夜からしとしと降り続いていた雨足がまた強くなってきた。  梅雨とはいえ、飽きもせずに本当によく降る。  30分ばかり街を進むと、そこはもう別世界。  もう、C区からN区に入り、住宅街や公園が 見える。  橋を渡ると、もうN区kだ。  戦前、日本でも最大の遊郭の1つと巨大な商店街を 誇っていた、この街も、戦争中の空襲による徹底的な破壊以降は 衰退の一途を続け、遊郭の残骸は数キロ移動した「料亭街」として、 細々と命脈を保ち、商店街は他の地方都市同様、シャッター通りと 化している。  橋を渡り、かつての遊郭跡の真ん中にある 道路を渡る。  この先は、A銀行のO市支店。  公園の前を強くなってきた雨の中、進む。  この公園、道路を真ん中に左右に分かれており、 その両方に野球のグラウンドや散歩のためのコースがあり、 深夜でも運動している人は多い。  だが、現在時刻は午前3時を少し回り、おまけに雨足も 強まっている。  当然、自分以外に人影はなく、たまに道路を走り去る車以外には、 動くモノは無かった。  勘が働く!  とでもいうのだろうか、はたまた酒に酔っていたためだろうか、 ふと向かって右の公園の茂みの向こう、野球場の前あたりに 人が2人見えた。  いや、人、ではなく人らしきものと言った方が、 この場合は正確だと思う。  1人ではなく、2人?  こんな雨の中、午前様から早朝に向かいつつある時間帯、 当然、辺りは街灯で明るいとはいえ、まだまだ暗闇のさなかにある。  1人は白い着物姿の女、遠目からはよくわからないが、 どうやら、若い女らしい。  もう1人は・・・  え?  白い半袖Yシャツ姿の初老の男。  頭には、とっくの昔に廃れたような型落ちのパナマ帽。  どう見てもこんな時間帯に不釣り合いな格好のカップルだ。  帰りたい気持ちと反比例したかのように足はドンドン公園に向かう。  茂みの向こうから、そっ~と覗き込む。  また、お別れだね。  ええ、寂しいわ。  またきてくださるわよね?  ああ、約束しよう。  うれしい!!  愛してるよ。 わたしも。  怒鳴っているわけでもなく距離が近いわけでもないのに ハッキリと男女2人の声が聞こえる。  強まる雨足も、見られていることもお構いなしに、 5分くらいだろうか、抱擁を続け、逢瀬を楽しむ2人の姿。  じゃ、そろそろ行かなくちゃね。  また、来てね。 私待ってるから。  その声の後、別れを惜しむ2人の声を最後に、 激しさを増す雨の中、2人の姿は、次第に薄く、白い靄になっていき、 周りの街灯の光の中にすっかり溶け込んでいた。  後には、街灯の光が、無人の公園を優しい光で変わることなく 照らし続けていた。  ああ、そうか。  そういえば、今日は・・・  何か、切ない、しかし、暖かい気持ちのまま、 次第に弱くなる雨の下、私は公園を出て、 もと来た道を歩き始めた。  たしか、まだ、やってた店があったな。  さ、今度は一人で飲み直すか・・・  気のせいだろうか?  つい先程まで明るかった街灯が、 今夜は、やけにくすんだ光に見えた。  最後にクリックをお願いします。  http://blog.with2.net/in.php?1547461 いつか、どこかで見た話 ...