「道はいつもひらかれている」 後段
道は,すべての人の前にひらかれている。
しかし,絶えず,知ろう,学ぼう,考えよう,とする意欲を持たないならば,
人はその自分の道を,歩きすすむ力を失うであろう。
知り,学び,考えていくことが,
自分の人生の道を歩いていくことだからである。
道は,すべての人の前にひらかれている。
しかし,したいことだけして,
しなければならないことは,なかなかやろうとしない人もいる。
しなければならないことこそを,
したくなる人になりたいものである。
道は,すべての人の前にひらかれている。
しかし,世間に自分というものを,
あやまりなくわかってもらおうなどという期待は,
持たない方が良い。
そうした期待に生きたいのであったら,
世間の因襲に全面的に屈服して生きるよりほかにないのである。
それは自分のない人間になることである。
わかってもらえようともらえまいと,そんなことは問題にしないで,
あくまでも,自分の真実にこそ生き貫いていこうとするとき,
世間というものは,
あんがい思いがけなくかえって自分を理解してくれるものなのである。
古谷綱武