いくつかのエージェンシーは、卵子提供を受けるレシピエントを対象にしたものと、卵子ドナーを募集する2種類のウェブサイトを持っている。以前レシピエントを対象にしたページを見て思わず首をかしげてしまった。そこには卵子ドナーが受ける身体検査の説明があり、その中に実際には検査されていないものが含まれていた。

血液検査で分かる検査項目なら、実際に知らない間に検査されたものもあるかもしれないが、明らかにこれは検査されていない、と言うものがあたかも検査されているように出されるのはどうかと思う。

私がレシピエントだったらこんなに沢山の検査をしてくれて安心と思うだろうけど、それが嘘だったらたまらない。でもそれが嘘かどうかも分からなかったら、と考えると、、、、知らぬが仏?いやいやいや。

またドナー本人や家族の病歴に始まって学歴にいたるまで、レシピエントが目にする情報の殆どがドナーの自己申告だと思う。実際に私が登録した所はそうだった。学校の成績を書き込む所なんて、一体どれだけの人が正直に書くのだろう、と思わずにはいられなかった。(私は小心者で、生まれてきた子供が「頭が良いと思って使ったドナーの遺伝子が入っているのにおバカだわ」となるのが申し訳なくて正直に書きましたよ。)

ただ、ドナーを選ぶ基準は学歴などではないのかもしれない。このような情報はあくまで参考程度に存在するのであって、それ以上の意味はないのかもしれない。

それでも私は、ドナーの情報として提示される情報が嘘か本当か分からないものかもしれない、というあやふやな所が怖く感じる。目の前にある情報が真実であると、簡単に信じてしまうことの怖さ。

100%信じるのではなくて、もし予想外の何かが起こったとしてもそれを受け入れる覚悟がなければ、卵子提供はとてもリスキーな選択なのかもしれない。だからこそ、もっと様々な情報をシェアする必要があると思う。卵子提供の良い点悪い点、将来的に懸念される問題等、もっとオープンに話し合える日がくるのだろうか。

まだまだ新しい卵子提供という不妊治療。その先駆けとなって頑張るエージェンシーはすごいと思う。新しい道を開拓していくことは容易いことではないだろう。そしてその勇気と努力が、多くの人に新しい選択肢を与えてくれた。

では、これから先は?

少なくとも私は卵子提供に関わった者が率先して、卵子提供で生まれてくる子供達にとって住みやすい社会になるように道を整えていく責任があると思っている。

 
毎晩自分で決めた時間に誘発剤の注射を打つ日々を送っている。毎日、お腹の脂肪を目がけてブスッと注射を刺しながら、「大きくなれ~、沢山育て~」と念を送るのが今回のサイクルの日課になってしまった。

それほど、卵胞の育ちが不安だった。

誘発剤の投薬が始まった直後の超音波検査では、あまりの卵胞の少なさに愕然としたが、人の体とは本当に不思議なもので、時として予測不可能な反応を見せてくれる。

今日も超音波検査があり、ドクターがいつものように卵胞の状態をチェックしてくれた。
「1、2、3、4、5、、、」と声に出しながらドクターが卵胞を数えるのだが、今日はその数が順調に増え続ける。前回にはなかったことで、思わず私も自分の卵巣が写し出されたモニターを覗き込んでしまった。

結局、卵胞の数が極端に少なかった方の卵巣からは、前回の実に3倍以上の数の卵胞が見つかった。もう片方の卵巣も卵胞が増えていて、左右同じくらいの数と大きさに揃っていた。どれも良い状態で問題なし!と言うドクターの言葉に、皆の顔が笑顔になった。

ちなみにこんな急激な増え方をしたのは、私が覚えている限り卵子ドナーになってから一度も無かった。たった数日間で一気にこんなに増えるとは本当に驚いた。薬の力がすごいのか、私の思い込み(念送り)がすごいのか。

最後の最後で追い込みをかけてくれた体の底力を見た気がした。あとは卵子の質が良ければ良いのだけど。

とにかく採卵前にやっと足並みが揃った。もう少し誘発剤を使って卵胞を大きくすれば、準備万端。

採卵までのカウントダウンが始まる。

 
卵子ドナーとエージェンシーは切っても切れない関係。信頼できるエージェンシーを見つけることは、より安心して卵子を提供できる環境を作ることに繋がると私は思っている。卵子ドナーになるには、ほとんどの場合まずエージェンシーにドナーとして登録するところから始まる。では、そもそもエージェンシーとは何なのか?

エージェンシーを一言で表すと、ドナーを管理する会社。卵子ドナーを募集し、ドナーとして適切かどうかのスクリーニングからレシピエントとのマッチング、そして卵子提供の予定に従ってドナーの投薬や通院を確認し、なにか問題があれば対処して滞り無く卵子提供が進むように舵を取る。卵子ドナーにとって一番身近な存在になるのがエージェンシー。言わばドナーのお世話係と言った面もあるかもしれない。

アメリカに限って言えば、日本人を対象にしたエージェンシーがいくつかある。ただ、エージェンシーによってそれぞれ特徴があるので、自分に合った所を探した方が良い。一つ言えるのは、

謝礼金が高い≠良いエージェンシー  ということ。

エージェンシーによっては、投薬する際に必要な自己注射をドナーが出来るまで手取り足取り教えてくれる所もあれば、提携先のクリニックに注射指導を任せる所もある。通院の送り迎えをやってくれる所もあれば、採卵日まで顔を合わせない所もある。どちらが良いか悪いかではなくて、どちらが自分に合っているか。英語があまり得意でないなら、エージェンシーのスタッフが細かく面倒を見てくれる方が安心だろうし。

ちなみに私が登録しているエージェンシーは、基本的に私が現地のクリニックと英語で直接やり取りすることが多く、何かあれば私からエージェンシーに連絡をする。他のエージェンシーと比べて、どちらかと言うと、手取り足取りドナーに付き添っている感じがしない。でも、それに対して不満はないし、何かあった時は迅速に対応してくれるので私は満足している。でもこれが、右も左も分からないドナーさんだったら不安になるかな、と思うこともある。

ドナー登録する前に、上記のような違いはなかなか分からないだろうし、こちらから聞かないと教えてもらえないことも多々ある。疑問に思ったら、その都度質問。その都度確認。そうやってエージェンシーと信頼関係を作っていく。