“プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル” | やまちゃんのホビー日記

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NHKで“プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル”を観た。
4年間密着取材したようだ。
制作の舞台裏が見れて面白かった。
会社にはあまり姿を現さない。
スタッフもそれに慣れているから気にもしない。会社にこないで何をしているのか?
別に仕事部屋があって、そこで考えているようだ。
熱海の合宿でメインスタッフがイメージボードを描いて持ち寄って庵野監督に提示するものの、パラパラと見てこれじゃない感じで帰っていく。
方向性を示すでもなく、何か新しいものを探している雰囲気を漂わせている。
アニメ制作というのは流れ作業で多くのスタッフの手を経て完成していくものだが、その流れさえも変えていこうとする。
通常はシナリオ→絵コンテ→レイアウト→原画→動画と流れていくもの。
しかし今回は絵コンテを描かず、プレビズ(プレ・ビジュアライゼーション)を使うという。
映画ではVFXやアクションを多用する作品でよくプレビズを作ります。
プレビズとは、あらかじめラフなモデルを使って3DCGで作った映像のことを言います。プレビスを導入することで完成イメージや段取りを確認して撮影をすることで効率的に制作ができます。
これはCGアニメでも導入しているシステムなのですが、庵野監督の作り方はまた独特なものでした。
モーションキャプチャーを使ってアクターにセットで演技をしてもらう。
スタッフがビデオカメラでより良いカメラアングルを探す。それが3DCGでリアルタイムに反映され、それを庵野監督がチェックする。
納得いかない時はスマホのカメラを持ち出して自分で良いカメラアングルを探す。
役者の演技はあくまで作画の参考でしかない。
庵野監督がプレビズに求めているのはより良い「アングル」なのだ。
仮編集の段階でもカット割に悩む。
編集を中断して写真を撮りにいく。
撮ってきた写真を入れることによって、ようやく納得する。
前半のパートが納得いかないようで、「このままではダメだということがわかった」ということで作り直すことを決定する。
スタッフも反論するわけでもなく決定に従う。
制作も大詰めにきて、後半パートをシナリオから書き直すと言い始める庵野監督。
さすがに動揺を隠せないスタッフ。
TVシリーズと同じような状況だなと思いつつ、何とか締め切りに間に合わせた。
初号の上映の挨拶で「ありがとうございました」と深々とお辞儀する姿がスタッフに対する感謝の気持ちが伝わってくる。
挨拶を終えるとシアターから出る。
初号は見ないと言って清々しい表情で立ち去る。
創作する者の苦悩が滲み出てる番組でした。