阿部くんがアンバサダーを務めるモネ展に近いところでやってるっぽい(多分)ので、お時間が余ったら是非行ってみて欲しいな〜と思い書いております。
私はなんとなく興味が湧いて、ふらっと。行ってよかったと言う感情と、行かなきゃ良かったという感情が混ざってものすごく気持ち悪い感覚がずっと続いていて。
フィクションと分かっているのにどこか現実味があって凄く気持ち悪かった、なんだろう、重苦しい感じが。
是非皆さんにも、色々考えてみて欲しくて。
身元不明
普通に行方不明の人々の張り紙や、映像作品、様々なものが多くて。でも印象に強く残っているのは張り紙なんです
、行方不明の。何十枚とある捜索願いの張り紙の中で一つ、とてつもなく印象に残ると同時にとてつもなく息苦しくなる張り紙があったんです。
「おかあさん」
それはただひたすらに、幼い子供の字でした。行方不明となった母親を探す、幼い子供の捜索願いの張り紙。かつて迷子になったあの時、親を見失い不安になったあの感覚がこの子は続いているのだと思うと、酷く心が締め付けられる。他にも様々なもので、でも全て何処か見覚えのあるような感じの物が沢山。知り合いにこんな顔いたような、なんて思うことも。あ、この人、さっきすれ違った気がするな。そんなわけがないのに。
その貼り紙を後に、他の展示物も見て回る。映像や、造形物。ネットの書き込み。プロローグから位置が離れていくにつれて、段々と、不気味さが増していく。でもそれと同時に人の記憶は案外脆くあっという間に朧気になっていくことがものによって可視化された感覚を得てしまう。人とは、どれだけ相手に感情を注ごうが呆気なく記憶は薄れていくものなのだと、知ってしまう。フィクションだと言うのに、現実味を帯びた感覚を知ってしまうことでほんの少しだけ鳥肌がたった。
所在不明
オカルトチックな世界観、こっくりさんや異界駅、エレベーターで異世界に行く方法etc……一度は耳にしたことがあったり、試して見たり、なんとなく私たちに近いようで遠い存在、怪奇。ここはホラー色が強いので、人によっては一人では怖いかもしれないです。お友達と行くとおすすめ、周りの人も二人組で来てる人達はこそこそ考察したりしてて楽しそうでした。なんとなく見て回ってると、エレベーターで異世界に行く時のビデオが。私、幼い頃エレベーターで異世界に行く方法を試しことごとく失敗してたのをふと思い出して、なんとなく懐かしくも感じてしまって。長らくそこで足を止めてしまったんですよね。惹き込まれる感覚って言うか。他にも映像作品があったり、たくさんの「異界」を感じるものが詰め込まれてて楽しかった。一種のホラー特番の一部に自分が紛れ込んだ感覚。ヘッドホンは行列が凄まじかったので先に別の展示を見て回ったりすると良いかもしれないです、あとは譲り合いの心を大事に。身元不明の世界から、一気に不可解な世界へと引きずり込まれる。そんな一角。
出所不明
B1に移動すると真っ先に広まる世界。貴方は、「この世から消えてしまいたい」と強く思ったことはありますか?私には、あります。そんな問いかけをする理由も、行ってみたら分かるかもしれない。言葉では形容できない不気味さがあります。どこか嗅いだことのある懐かしい香りを纏う香水や、長年放置されたかのような鏡が足を運んだ私たちを迎え入れてくれるでしょう。消えることを望んだ人からのありがたい助言なんか、あったりして。
一度この世から消え去ることを考えたことがある人は引っ張られてしまいそうな展示物だったような気がします、私は少なくとも、お恥ずかしい話そちら側の人間だったもので。自身の目の前にもしこんなものが現れていたら?家族がこのようなことに巻き込まれていたら。もしかしたら、自身の記憶の中には既にこの世から消されている「誰か」の存在が断片的にあったのだとしたら。様々な考えが頭の中を巡る、不思議な体験が出来るかも。
誰しも一度はデジャヴを体験しているものです。行ったことのない場所に懐かしさを感じる、それは本当に行ったことがないのではなく、自分が今は存在していない世界で行ったことがあったのかもしれない。
沢山の「もしかしたら」を体感する。それと同時に自身がそちら側の存在だった可能性もないとは言いきれなくなる沢山の展示物。貴方はこれをどう受け止めますか。
真偽不明
私はここが一番怖かったです。この世の全てから消えたものは、誰かの記憶に残り続けない限り思い違いや無かったことにされてしまう。子供の遊び道具や存在していない手紙、今はもう存在していない可能性のある人々の映像、別世界に行ってしまった人々の末路、そして、この世界に戻ってきた人の手記。落ちている捜索願いの張り紙。異世界に行ってみたい、別世界に逃げたい人なんて億万と居そうな現代にその現実を見せてきたような気した。フィクションだと思っているのに、この人は今は幸せなのだろうかを考えて気が滅入りそうになる。それと同時に、私は本当にこの世界に元から居た人間だったのか疑問を持ってしまった。これを読んでいる貴方は、自身が「元からこの世にいた人間だったのか」と言う証明を出来ますか。
ふと、まわり終わって気づいたことがあるんです。所々床に四角い、あたかも「何かが展示されていた跡」のような線が残ってるんです。その線、どこから来たんでしょうか。そこには「何が」展示されていたんでしょうか。
貴方の周りに行方不明になった人はいますか。私には居ませんでした。だけど、本当はいたかもしれない、あの張り紙の中に。
少し心を乱される少し不気味な展覧会、行方不明展。
貴方も行ってみてください。きっと、面白いものが待っていますよ。
(この展覧会はフィクションです、多分)
