観てから一か月以上たってしまいました。
ここに感想を載せておきます。
舞台は上下に二つ。
上の舞台では主に回想シーンや裁判所でのことが語られる。
ストーリーは下の舞台で語られる。
登場するのはねずみの三銃士とゲスト3人の計6名だが、声のみ出演の俳優もいる模様。
物語のベースにあるのは「一家監禁殺人事件」。
東京のとある住宅街にマスター(生瀬勝久)とその妻・陽子(小池栄子)はカフェをオープンさせようとしていた。
開店を翌日に控えたある日、一人の少女が駆け込んできた。
「助けてください!ヤマザキが、ヤマザキが私を追ってくる!!」
その少女の名はトキヨ(夏帆)。
彼女はカフェの近くのマンションで8年間もの長い間そのヤマザキという男によって監禁されていたという。
トキヨと共に監禁されていた彼女の家族は毎年ハロウィンの晩に一人ずつ殺されていったという。
二人の通報によってトキヨは警察に保護され、事件はマスコミによって大きく騒がれた。
それから7年。
カフェへトキヨがやってくる。
22歳になった彼女は、OLとして働いていた。
命の恩人である二人に何か恩返しがしたいと、彼女はカフェの手伝いを申し出る。
陽子はあまり乗り気ではなかったが、マスターは喜び彼女を迎え入れた。
数か月後、トキヨの里親を名乗る男・アヤセ(古田新太)がやってくる。
温厚そうな彼にマスターらは安堵する。
だが、彼が店にやってきたことで彼らの運命が変わり始める。
それは、カフェの常連埜呂(池田成志)とマスターの前妻の弟・馬場(小松和重)をも巻き込んだ大きな事件となっていくのだった…。
とまぁ、こんなお話なんですけども。
舞台冒頭では「まんじゅうこわい」の落語が紹介されるんです。
「若い男たちが集まって、それぞれ嫌いなものを挙げていく。
『俺は蜘蛛が嫌いだ』『オレは蛇がダメだぁ』と言い合っている中に一人、『俺には怖いものなんか一つもねぇ』という男がいる。
本当に怖いものはないのかと何度聞いても『ないものはねぇ!』と言い張る。
しかし、それでもしぶとく聞き続けると『実はある』と白状する。
何が嫌いかと問うと『饅頭が怖い』と言う。
『話をしてるだけで気分が悪い』と男は言い、隣の部屋で寝てしまう。
みんなは『饅頭攻めにして脅してやろう』と思いつき、饅頭をたくさん買い込んで男の枕元に置く。
そして襖に耳を当て男の様子をうかがった。
しばらくして男の悲鳴が聞こえた。
『うわぁぁなんだこりゃ!饅頭じゃねーか!それもこんなに!怖い怖い!!』
みんなは『ざまぁ見やがれ』と喜んだ。
すると男は『ああ怖い、怖い。こんな怖いものは食べちまって無くしちゃおう』『旨すぎて怖い』などと言ってすべてむしゃむしゃと食べてしまった。
みんなは『こりゃ一杯食わされた』と気づく。
怒ったみんなが『お前が本当に怖いものは何だ!!」と聞くと男は一言。
『濃いお茶が一番怖い』」
この舞台の冒頭では「まんじゅうこわい」要素が感じられず、「どうしてこのタイトル?」とずっと思っていました。
けれど、物語が進むにつれて本性がわかってきて「あ、なるほど」と理解できました。
それにしても、すっきりしない舞台。
なんと後味の悪いことでしょう。
なんとも消化しきれない気持ちがもやもやと。
帰りの電車ではこれはお勧めしにくいぞと思っておりました。
個人的には、すっきりしないとはいえ、「見なくてよかった舞台か」と問われれば即答で「NO」なのですが。
人に「この舞台すごく面白いから見るべきだよ!!」と簡単に勧めていいものなのか。
悩んでしまいます。
そもそも、人に勧められるほど私自身この舞台を理解しきれていないんだろうなぁ。
「ねずみの三銃士」難しいですね。