夫の実家に帰省したら

身内みんなそろっての食事

必ず毎回決まっての義母の手料理

テーブルいっぱいに並べられたおもてなし

誰もが「うわぁぁご馳走いっぱい」と目を輝かせるほど

だが

顔をこわばせながら

顔をひきつらせながら

できる限りの笑みをみせながら

席に着くのは

私だけであろう

ごめんなさい

先に謝るので言わせてほしい

茶色くて味の濃い田舎なじみの煮物料理が

私の口に合わない

年季のどっぷり浸かった野菜のぬか漬けが

私の鼻には不快

ごめんなさい

箸がすすみません

ごめんなさい

エビフライ 焼き鳥

子どもテーブルのオードブル料理を頂いております

手料理ではなくテイクアウト料理を頂いております

新婚当初から数うん年

料理が得意と言う義母をたてるかのように

何なら当たり前のように

何の義務感もなく笑顔で頂けた手料理

ところが

この光景が10数年続くと

笑顔で

食べられない

お腹を空かせて行ったこともあった

でも箸が進まなかった

家でこっそりお腹を満たせて実家帰省

なんて誰にも言えない

おまけに

なんと なんと

帰り際に必ず渡される

段ボール箱いっぱいの

タッパー入り持ち帰り用お惣菜

もう勘弁してください

もう気付いてください

「子供たちもこんなに家で食べ切らないのでいらないです」

って何度も言いましたよ

喜んで食べてくれる方にお分けください

もうホントにいらないんです

もうホントに困るんです

冷蔵庫がぬか漬けの匂いに支配されるのが

冷蔵庫が半分もタッパー積みになるのが

数日間も茶色い煮物を食卓に出すのが

もうホントに嫌なんです


以上のセリフと感情を胸に閉じ込めて

パンパンになりかけてるのを分かっていながら

私は自分にスイッチを入れる術を身につけた

夏(お盆)と冬(お正月)  

年に二度

私は女優になる 

円満に無事に 

その場の雰囲気と数時間をなんとか流せるように

当たり障りのない嫁を演じる術だ

完璧な嫁ではなく

あくまでも(私の中での)大丈夫そうな嫁

大丈夫そうって何だ

と自分にツッコミながら

帰省日の前日から準備をする

スイッチが必要 な女優

誰にも知られていないはず な 女優

身バレしているかも な女優

演技力が乏しいかも な女優

あと何年できるか分からないができる間はやってみよう

誰かにとっていいか悪いかは考えずに

とりあえず

これは

今世での

私のミッションだ

夏と冬は

私は女優