午後2時過ぎ、外は思ったより晴れていた。
掃き出し窓の外を見てそう思ったあと、
ワタシはその窓を開けた。
湿りは感じなかった。
ベランダに出ようと一歩、ワタシは足元にあった片方のサンダルを踏んだ。
雨が続いて濡れているはずのサンダルは、既に乾いていて、その付近には、埃の固まりが出来ていた。
───
もう見る必要ない人たち..
この世には、別に会わなくてもいい人たちが沢山いる。
「そんなの身勝手だよ」
誰か正しいことを言う。
この世界は、いつも自分以外の人たちが目立つ..
随分と感傷的だね。
そういうときもあるよ..
気紛れの天候と一緒だよ。
恋愛と私のおでこ...
──
私は、昨日付けで仕事をやめた。
職場に自分の傘を置き忘れているのを昨日の夜に気付き昼過ぎに取りに出掛けようと買ったばかりの靴を履いて家を出る。
空は、どんよりした天候で今にも降ってきそうな感じだったが、それを気にせず敢えてバスに乗らず歩きでやめた職場へ向かった。
色々な思いを無視して30分ちかく歩いて、職場付近のバス停が見えるとその手前にあるコンビニへ立ち寄り
お世話になった同僚にお菓子の差し入れをしようと1500円ちかくのお菓子を買う。
どんよりした天候の午後の人混みの少ない時間..
そこにある道を、
私は通る車の音に混じって鼻歌を歌いながら歩いていた。
──
職場のあるマンションに着き、入りぐち入って直ぐ真ん前にあるエレベーターと階段...
私は、エレベーターの5階を押し、扉が閉まるのを待った。
エレベーターは止まることなく上がっていき5階に着くころ私は、なんのために化粧をしたのか分からない表情になっていた。
─
扉が開き、きりっとした表情に切り替え、出て直ぐ斜めに曲がり前に進むと、オフィスとして構える一室のドアの前に立った。
中からは、女の軽い笑い声が聞こえ、上司の声が重なっている。
私はチャイムを鳴らそうとしたとき、
"もう昨日でここをやめたんだよ"
という胸の声を聞いた。
俯き自分に正直になると表情がまた曇り置き忘れた傘がどうでもよくなった。
差し入れのお菓子の入った袋をドアの横に静かに置くと私は、
ドアをもう一度見て、踵を返し
キツくなった表情で歩きエレベーターが見えるとそこに唾を吐き、階段の手すりを強く握り微笑んだ。
─
階段を下りながら嬉しさの余り口からは
「ハァッ..ハハハ」
と自分でもぞっとする声がこぼれ背中が汗ばみ身体が震え、
タン、タンと音を立てながら一段一段下りる度、冷たいコンクリートの階段に愛着が沸いた。
マンションを出るころ、
外は小雨が降っていて私は好きなお店がある方へ足を向け
その小雨が"素肌に触れる度"、胸が締め付け、目から涙がこぼれ、軽い深呼吸をした。
横断歩道で足を止め、小雨が少し強くなって寒さを感じ両手をコートのポケットにいれたとき、
片手にあの階段の手すりを握った感触がまだ残っていた。