父の夢を見ました。
日がさんさんと入るベッドルームに私はいました。
ベッドの掛け布団はやさしい色合いの柄物で、
誰の部屋だろうと思ったのです。
続きの小部屋のドアの向こうに人の気配がします。
出てきたのは父でした。
そのまま、さぁっと父は部屋から出て行き、
「あっ」と気がついた私は父を追いかけました。
父がいるはずなかったし。
半身まひの父が歩けるはずがないのに。
廊下に出ると、
父はまだそこにいて振り返って笑いました。
それだけ。
もともとしゃべる人じゃなかった。
そして、
押し出されるように私はうたた寝から飛び起きたのです。
離れて暮らしたためでしょうか。
父が亡くなった感覚が実にありません。
そして間に合いませんでした。
子供の受験と進学。
なかなか時間を作れず、
やっと帰れるとした連休の1週間前に逝ってしまいました。
本当に本当に、
棺に入っている父を見せられても、
失礼ながら蝋人形としか思えなかった。
やりすぎの母が原因で実家疎遠を覚悟する私に、
「おるごーるが帰りやすいような家にするからね」
と言った父の声のトーン。
昨日のように。
自分の身をもって私を帰りやすくしてくれたとしか。
養子に対するご先祖様の圧力とか。
給料使い込みなど小市民な悪事はした父。
母に頭が上がらないため、
家庭において父は昔からしゃべりませんでした。
そのため、昔からお互いちらりと視線を見やって、
「あー、こう思っているか?」
という具合でしたので、
会話が成り立たなくなってからも、
まるで回復したかのようにカン違いできました。
その父が、さぁっと私の先を歩いていきました。
(やっぱり歩けるようになるんだ)
私はおかしな確信をもって夢から目覚めたのでした。
