第19話 交差(2/2)
賑やかな市場をヒュウとラシアルは楽しそうに物色中だった。
みんなの威勢のいい元気な呼び声で、二人とも楽しくて仕方がないようだ。
にこにこと笑いかけてくる市場の人々に、ふたりも笑顔で答えている。
ふとヒュウが立ち止まった。何か不思議な感覚に襲われたのだ。
ラシアルが隣を歩いていないヒュウに気づき、後ろを振り返った。
「ヒュウどうしたの?何か目ぼしいもんでも見つけた?」
市場に並んでいる商品を見ているのかと思ったラシアルは、ヒュウのもとにニコニコと戻ってきた。
ヒュウはラシアルの呼びかけに答えずに、胸に手を置いてゆっくりとあたりを見回し始めた。
「ヒュウ?何やってんの??俺の声聞こえてる!?
………あ、もしかして…、何か思い出した…とか?」
ラシアルを全く気にしないヒュウに心配になって、ラシアルは恐れていた質問を自然と口に出していた。
ヒュウはやっと我に返ったようにはっとして、ラシアルのほうを見る。ラシアルは少し悲しげな表情だ。
「何も…。思い出してない…。でも、なんだろう?胸の辺りがじわっとあったかくなって、懐かしい感じがしたんだ。」
ヒュウはまた、自分の中の感覚を探るように胸の上に手を置いてみる。
ラシアルはそんなシュウを心配そうに見つめていた。
いよいよ空の力を強く感じる。アオリは深く息を吸い込むと、神経を研ぎ澄ますように目を閉じたまま天を仰いだ。
「ヒュウ…。やっと会えるのね…。私の双子の兄さん…。」
感慨深い気持ちになって、アオリは少し涙ぐんだ。ルウも消えてしまった生まれたばかりの赤ん坊を思い出していた。
素早く視線を街の中に戻すと、アオリは確信を持ったように歩き出した。
空の波動を感じているのだろう。その足取りは自信に満ちていた。
知らないはずの道をアオリは迷うことなく歩いていく。
道は市場に近づき、だんだんと賑やかさを増してきた。元気な売り子の声が二人にかかる。
アオリとルウはいろいろと珍しいものが売っている露店にも全く興味を示さず、どんどんと市場の中へと入っていった。
ヒュウが弾かれたように振り返った。
ラシアルは驚いて、ヒュウと同じ方向を見る。
市場と市場が交差する一番賑やかな通りの曲がり角から、全く見知らぬ男女が現れた。