タクシードライバーというものは1日で20〜30組ほどのお客様をお乗せする。
そうなると1組くらいは変わったお客様がいても不思議ではない。
今日はそんなお客さんの話について書いていきたいと思いますゥ
(半ばただの愚痴である)
〜深夜1時ごろ〜
女性「○○病院のあたりまで」
ぽてと「かしこまり」
深夜ということもあって当然だがこの女性は○○病院に用があるのではない
あくまで帰宅するのが目的である
その際、家の近くの目印として○○病院を指定したまでである
深夜の交通量の落ち着いた道路を颯爽と1台のタクシーが○○病院へと走っていく
この辺りのエリアは何回も走ったことのあるエリア、俺にかかればちょろいもんだぜ…
その時のぽてとの顔はまさに、にちゃぁ…そのままであっただろう
料金メーターは4,000円を越えていた
るんるんで車を運転するぽてとは、この後起こることを何も知らなかった…
○○病院の近くに着く
ぽてと「この先どうしますか」
女性「左折で」
タクシーは左の路地へと進む
余談だが基本的に目印となる場所に近づけばそこから先は客が指示を出し家の近くへと進んでいくのが一般的である
なのだが…
女性「……」
ルームミラー越しに確認するが寝ている訳ではない様子
目的地がわかっていればタクシーは勢いがいいのだが、行き先がわからないとなれば話は別である
いついきなりそこを曲がれと指示が出るかもわからない
気がつけばぽてとの先ほどまでの威勢の良さもなくなっていた
流石に百メートルほど無言でいられるのは怖いものである
ぽてと「…まだ直進で大丈夫ですか……?」
女性「はい。」
ほっと胸を撫で下ろすぽてと
なんだちゃんと指示を出せるじゃないか
曲がる路地を今か今かと女性も待っているに違いない
そんな風に思っていた
気がつけばだいぶ進んでいた。直進だけで。
念のためと途中もまだ直進かを尋ねるぽてと
そして女性は答える。「はい」と。
そして路地を走っていたはずのタクシーはいつしか大通りへと直面した
ぽてとはその時思った
この大通りに出るのであれば○○病院を指定するのはおかしくないか……??
そう、その大通りに行きたいのであれば○○病院から行くとなると遠回りになってしまうのである
そして大通りは直進はできず、右か左かのどちらかにしかいけない
ぽてとは尋ねた
ぽてと「右ですか?左ですか?」
女性「…どこですか、ここ?」
嘘だろ…
あんたは直進だと言っていたじゃないか
こっちが聞きたいよ、どこだよお前ん家
女性「家、○○病院の近くなんですけど…」
ぽてと「……。」
いやだいぶ前に通り過ぎましたけどおおおお
自分でも何がなるほどだったのかわからない
爆速で来た道を戻り再び○○病院の近くへと着いた
女性「そこ左で、そこで停めてください」
なんだよ、マジで○○病院のすぐ近くじゃねえか…
気がつけば料金は5,900円ほどになっていた
無駄走りした分値引きするべきか悩んだが、何回悩んでも一つの結論に至ってしまう
…俺悪くなくね?
結局メーター料金そのままの代金を頂いたぽてとであった
女性はメーターに写る料金を鋭い眼光で見つめていた
その眼光はまるで幾多の修羅場をくぐり抜けてきたアマゾネスの女戦士のようであった
ドアを開け、自分の家へと歩いていく彼女の後ろ姿もまたアマゾネスの女戦士のようであった
そうか、俺はアマゾネスを乗せていたんだな…
そして1人車内でもう1度呟く
「なるほど。」
