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【遅れてきた新人】の、内山敏洋 と申します。 蔵の中に溢れかえっている作品や頭の中に湧き出てくる作品を“どんどんと!”と、考えております。

「お前の入省の話が持ち上がったからこそ、恥を忍んで居座っている。
全ては、お前を次官にする為だ。
ご本家からは、せめて局長になってくれればと言われている。
そんなことは、私が許さん。

いいか、来年にだ。東京大学法学部に入学しなさい。
席は、郵政省に残しておいてやる。
大丈夫だ、話はついている。
形ばかりの試験はある、面接のな。

全て決まっているから、心配はいらん。
みっちり勉強して来い。そして然るべき家から、嫁を貰うんだ。
閨閥を軽んじてはいかん」
 
 奥方が退室すると、正三を隣に呼び寄せての小声になった。
「あの嘉代は、元次官の娘だ。
しかし権藤の奴、どこでどう手を回したのか大蔵省次官の娘を娶りよった。
大蔵と言えば省の中の省だ。

何とか代議士を頼って運動してみたが、やはり負けた。
元次官には申し訳がない、まったく。
嘉代はそのことについてひと言も不平不満を言わん。
しかし不憫でな、次官の娘として育ったのに」