7月28日、僕は再びホームに立ち、列車を待っていた。

昨年は、北へ向かう列車、今年はその反対側のホームだ。

思えば、昨年の北海道旅行が全ての始まりだった。あの時、あっちゃんに出会ったことで、僕の中の何かが動き出したのだ。

今年のバッグ、いや、リュックサックには参考書がぎっしりと詰まっている。

列車は、まずは新潟へ向かった。
新幹線に乗り換え、越後湯沢まで。
そこで、上越線に乗り換えて、水上へ。さらに、そこから沼田という駅まで行き、着いた頃にはもう午後の2時過ぎになっていた。

降り立った、群馬県沼田駅は、駅前にバス乗り場と、商店、スーパーマーケットが数軒あるだけの小さな都市だった。

ただ、見上げると、山並みに四方から囲まれ、自然に恵まれた美しい街だ。

そして、僕はここから更に、バスに乗った。片品村、花咲というのが、僕の目指す学生村のある場所なのだ。

バスは、しばらく市内を走ると、どんどん山の中へと入っていった。
眼下には清流が望め、ますます勾配は厳しくなり、山々が迫ってきた。

バスには、一時間以上乗っただろうか。武尊口というバス停で降りた。

ここに、学生村のマイクロバスが迎えに来てくれているはずだ。到着予定時間は知らせてあった。

『それにしても、とんでもない山奥だな』

僕が思わず呟くと、人の良さそうな中年の男性が近づいてきた。

『学生村の方ですか?』

『はい』

『どうぞこちらへ。驚くのは、まだ早いですよ。これからもっと山の中へ入ります』

僕を乗せたマイクロバスは、更に狭く急な坂を登っていった。



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