四年後の春。

僕は、京都大学の三回生。
そして、あっちゃんは、同志社大学の新入生。
最後まで粘り強く花をつけている仁和寺の桜の下を歩く二人。
時折、風で桜の花びらが二人を包む。
まるで二人を祝福するかのように。

『信じて待ってたよ』

『はい、やっと夢がかないました』

『そうだね。僕達の約束だった』

『はい、アキラさんが京都の大学三回生になったら、私が一回生になって、京都に行く……』

『そう、あの札幌での約束』

『もう、あれから四年たったんですね』

『ところで、今日は時間大丈夫なのかい?』

『はい、姉には上手く言ってきました』

『お姉さんと同居するんだよね』

『はい、お父さんはいません。だから今日はアキラさんのお部屋に行って、二人でお祝いしましょうよ』

『そうだね。わかった…』

僕は、あっちゃんの肩を抱こうとした。
その時だった。


『おーい、アキラ何してんだ?帰るぞ~』

高山の声が、広い境内に響き渡った。

『わかったよ』

現実に戻った僕は、夢にそっと封印すると、次の錦市場へと向かった。




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