その日は、いよいよ京都に向かってバスは走り出した。
市内に入ると、まず本願寺、さらに二条城、その後、天龍寺で懐石料理を食べた後は、嵐山散策、そして、最後に金閣寺というハードな行程だ。
初めて見る京都の街並みは、バスの中からは魅力的だったが、外は暑すぎた。
8月の京都の暑さに、ただただ驚くばかりだった。
バスの中で、うとうとしてしまった僕が気付いた時には、ホテルに着いていた。
その夜も、ホテルの部屋では、話をすることもなく、参考書を開いたまま、眠りについた。
修学旅行三日目。
今日は、班別の自由行動の日だ。
僕達の班は、ホテル近くの平安神宮にお参りをして、その後、龍安寺、仁和寺、苔寺と回り、最後は錦市場で買い物というコースらしい。
『らしい』というのは、このコース決定に僕は、全く参加していなかったからだ。
僕は、後悔していた。
『もう少し早かったら、京都大学や、他の大学もコースの中に入れられたのに』と。
ところが、幸運なことに、平安神宮と京大はすぐ近くにあった。
ということは、ホテルからも近いということになる。
僕は、高山に言った。
『京大寄ってみないか』
『いいんじゃないか。寺ばっかりで飽きちゃったから、みんなに言ってみようよ』
『いいけど。時間大丈夫か。』
一人の班員が言った。
『もし、遅れたら俺が先生に謝るから』
僕は、同室の平田に言った。班長は平田だった。
『分かった』
平田は、一言だけそう言うと、他の班員もみな頷いた。
『よっしゃあ。行くぞ~』
高山が元気良く駆け出した。
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