『じゃあ、中島公園まで歩いて行きましょう。途中すすきのも通るし』

彼女の提案で、僕達は、中島公園まで30分ほどかけて、ゆっくりと歩いた。


そこは、緑に囲まれた美しい公園だった。

僕達は、心地良い夏の風を感じながら、池を見渡せるベンチを見つけ、遅い昼食をとった。

『はい、どうぞ』

彼女が、サンドイッチとお茶を手渡してくれた。

『おばあちゃんが手伝ってくれたんですよ』

それは、軽く焼いたトーストで、卵とトマト、それにレタスを挟み込んだサンドイッチだった。


『とっても、美味しい!!』

僕が言うと、

『でもね、お父さんには言ってないんだ』

『そうなんだね』

『お父さんに言うと、いろいと聞いて来るから。だから、おばあちゃんにだけ言っちゃった。アキラさんは言ってきたんですか?』

『うん、僕の叔父さん、叔母さんもそうなんだけど、とても話の分かる人達なんだ。最初は反対してたけど、行くだけ行って、来なかったら札幌見物でもしてきなさいって』

『そうですよね~。私は来なかったら、お家帰ればいいけど、アキラさんはそうじゃないもんね~』


『僕は来ると思った?』


『うん、絶対来ると思ったよ』


『ありがとう。そう言ってもらうと、なんかうれしい』


『私は来ると思いましたか?』


『信じてた』


『うん、でも、私達すごい大胆ですよね。二人とも名前も住所も電話番号も知らなかったんだから』


『そうなんだよね。何で聞かなかったんだろうね』


僕達は、お互いの顔を見合わせ笑った。


『これ食べ終わったら、ボートですよ』


彼女はそう言うと、フルーツの入った容器を取り出した。



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