「えっと、望月さつきです。よろしくお願いします」
転校先のクラスでの自己紹介はまあまあで、みんなにこにこしていて安心した。
「さつきちゃん、いっしょに図書室いかない?」
優しそうな女の子が昼休みに声をかけてくれた。昼休みは、その子とその子のグループの子たちといっしょに過ごした。まだクラスのグループとか、全然把握できていなかった。
♢
「ただいまー」
私がキッチンを覗くと、
「おかえり。どうだった?」
「普通。でも優しい子がいたよ」
まあ、初日はこんなもんだろうねーって家族で話してた。
♢
次の日の理科の授業のとき、先生の都合で突然自習になった。そのとき、かわいい女の子に話しかけられた。
「ねえ、さつきちゃんうちらのグループに入らない?」
この子はなんとなく分かる。たしかクラスで一番目立つグループの子だ。
「あ、うん」
もうグループできあがってるときに来ちゃってどうしようかと思ってたから、すぐ同意。
「あかりたちー、きてーー」
案の定、いわゆる”一軍”な女子たちが集まってきた。
「なに?らむ」
「さつきちゃん、うちらのグループ入るって!」
「やったー、じゃ、あだ名考えようよ!」
「んーどうしようか。さつきだからー...」
「あ、さっつんは?よくない?!」
まあ、こんな感じで、私がプチ混乱してる間に、グループとあだ名が決まった。
「じゃ、うちらさっつんて呼ぶから、さっつんは、あかり、なっちゃん、らむってよんでね」
わかった♪ って、ちょっと高めの声で返事した。
♢
「望月さんてさー、彼氏いるの?」
「え?いないよ」
「そーなんだ」
ええ?私は、すぐ幼なじみの男子たちを思い出した。奴らとはただふざけて遊んでて...いや、中1で、転校2日目でこれですか!?
給食のパンをもぐもぐしながら、何も考えてなさそうな幼なじみたちがが懐かしくなった。
まあ、うちらのところが無邪気すぎただけか。他のとこではこれくらいが普通か。
♣︎
「あー、まだ僕がいない頃のやつか、これ。ふーん。こんなこと聞かれたんだ。さつきのくせに」
私もびっくりしたし!くせには余計だし!
♣︎
帰りに、図書館での本の借り方を聞こうと、昨日のやさしそうな子を探した。
「あ、ねえ、本の借り方教えてくれる?」
「えっと...」
「ちょっとあづー、早くしてよ!」
後ろから、同じグループの女の子が叫んでた。
「あ、いいよ。ごめんねーまた明日ね」
すごい急かされてたから、聞くのは今度でいいや、と思って帰る支度を始めた。
下校は、まだ近くの子とか知らないから、1人で帰る。
「あづ、なんであの子と話してたの?!あの子うちらのグループから勝手に抜けたじゃん!あかりたちに誘われて調子乗ってさあ」
は?どういうこと。...私、昨日の昼休みに誘われただけでグループに入ってたの!?
「やー、ただ本の借り方聞かれただけだからさ。まあ、さつきちゃんちょっとよくわからないよねー」
...ここでは、昼休みいっしょにいただけでグループ決まるの?なんとなく仲良くなってできるものだと思ってた。
ちょっとよくわからないのは私のほうだ。
