夏休みに入り、練習はきつさを増していった。
その中でも翔也と春明は日に日に速くなっていった。
二人は悠基と競ることによって練習は激しさを増した。
彼らは夏の練習の間、二つの大会を意識して練習していった。
一つは秋季大会、もう一つは秋の駅伝だ。
秋季大会では個人だけではなく学校の順位も決まる大事な大会だ。
そして駅伝、苦しい夏の練習を一緒に乗り越えた長距離メンバーには
自然とチームワークが生まれ、団結力があった。
また地区で有数の速さを持つエース悠基
夏の練習で彼にひけをとらない実力を付けた翔也、春明の存在は
周囲の期待の的となった。
そんな期待も相まって夏が終わると練習はさらにきつさを増していった。
そうしているえちに秋季大会の日を迎えた。
5000mには悠基と翔也の二人が出場することとなった。
アップジョキングの時、翔也は足にすこし違和感を感じたが、余り気にせずにそのままアップを続けた。
時間になるとスタート地点へ行き選手の召集手続きを済ませ、スタートラインに立った。号包がなると彼は真っ先に飛び出し、先頭にたったが、
少し飛ばしすぎだと思い、少しペースを落とし、追い付くのを待った。
追い付かれると先頭を譲り、そのすぐ後方につき、
最後まで付いていき、ラストで抜きかえそう
と考えていた。
しかし、3000mを過ぎた途端
彼の足は急に重くなり、彼の速度はみるみる下がっていった。
翔也は必死に足を前に持っていこうと思うが思うように動かない。
気が付けば先頭とは150m程差をつけられていた。
翔也の次のレースを走る悠基は翔也の失速を見て悔しさのあまり闘志を燃やしていた。
スタートラインゆ立った時、肩に力が入っているのがわかったが、
彼はそれを緩めようとはしなかった。
号包はがなると全力で飛び出した。
翔也はしんどさのあまりゴール後すぐに倒れこんだが
数分後、悠基の応援をしようとようやく立ち上がった。
しかし彼は目を疑った。
悠基の姿が見当たらない。
先頭集団から最後尾まで見渡したが、やはり悠基の姿はなかった。
トラックの外に1つ担架が出ていて、誰かが運ばれているのが見えた。
それが悠基だった。