休日のひとり出勤


来客を出迎える準備をしていると

職場の固定電話が鳴った


「遅れるって連絡かな?」


来社予定のお客さんからかなと思い

元気よく電話に出た


「はい。〇〇株式会社 中村です」


凍りついたような間があり

落ち着いた女性の声で

「吉野です。中村まゆ子さんはいますか?」

と言われた


受話器を持つ手が震えたけど

そのままの勢いで答えた

「わたくしでございます」


「吉野 透の妻です」

「どうして電話があったか、お分かりですね」


「‥はい」


「もう夫とは会わないでください」


「はい」


そこで電話が切れた


受話器をおいたわたしは

すぐに透くんにメッセージを入れた


「もう会えません。

奥様に、本当に申し訳ありませんでした」


そのあとすぐ透くんから

返信と着信があったけど

応答せず、バッグに押し込めた

 



ここから長い苦しみがはじまる