子どもの頃、母は私がやることなすこと否定した。

着てる服も好きな本や漫画も、

時に仲の良かった友達も…

幼い私はそれに従った。逆らうなんて考え付かなかった。


私は途中から母の言葉よりも

自分の気持ちや考えを優先するようになった。

「あなたはあなただよ。

 お母さんとあなたは別の人間なのだから

 あなたの人生、あなたの好きなように生きていいんだよ」

そう、小学校の時に教えてくれた先生がいたから。

私を否定しないで話を聞いてくれる、父がいたから。


大学で念願の一人暮らしを始め実家と距離がうまれた。

でも母は毎月のように私のアパートに来ては、

ファッションにダメ出しをしたり、

漫画ばかり読むなと相変わらず口うるさかった。


社会人になった頃からだったと思う。

母はあまり私を否定しなくなった。

変わらず私のアパートに割りと頻繁に来て

漫画ばっかり増えてるけど…と文句を言いながら

私の本棚から漫画を物色して気に入ると自分でも買っていた。

羽海野チカ、河内遥、渡辺ペコ…

新刊が出ると私は母にも教えるようになり、

読後はあそこがよかった、誰々が好きだと電話で言い合った。


子どもの頃、母の本棚から盗み読んでいた母の好きな漫画たち。

岩舘真理子、小倉冬美、そして「くらもちふさこ」

そうか、私は母の好きなものを摂取して歳を重ねたのか…

だから母とたくさん好きなものを共有できたのか…


「いつもポケットにショパン」

麻子の母が自分の母に重なり、原画の前で涙が出た。

母の写真はコートのポケットに入れて、二人で堪能した。