イタリアンポップスを取上げてきましたが、これを外すわけには参りません。ボビー・ソロが1964年にサンレモ音楽祭で歌って入賞した「ほほにかかる涙」(原題:UNA LACRIMA SUR VISO)です。 日本でも熱狂的な人気がありました。いまさらながら初めてみる貴重な映像です。  

 

ボビー・ソロは、1945年ローマ生まれ。本名は、ロベルト・サッティといいます。スタジオ見学中にスカウトされ、1963年「ブルー・オン・ブルー」でデビューしました。この曲は、ボビー・ヴィントンが歌って大ヒットしたバカラック・ナンバー。 60年代初頭は、イタリアでもカヴァーポップスが盛んだったことを示す事例ですね。しかも本名ではなく、英語圏のアーティスト名に変えてのデビューですね。 

 

さてカンツォーネのヒット曲の例に違わずアメリカをはじめ、ヨーロッパの歌手によるカバーは多くありませんが、珍しくフランキー・レインが、英語で歌い上げて同年サンレモにて歌唱したのだそうです。♪ローレン、ローレンとは言いませんが、まるで「恋人よ我に帰れ」みたいですね。歌唱が余りに力強くて、ほほに涙は似合わないと思ってしまいます。 

 

さてこの曲もカヴァーを鹿内タカシほか、多くの日本のポップスシンガーが歌っています。独特の大人の男感溢れる鹿内さん、日本人に珍しくキザが板についたシンガーで、後に俳優としても活躍してましたね。キザさでいうと、藤木孝と一、二を争いますか。

 

「美しい十代」という上から目線の歌で一世を風靡した三田明も歌っています。十代が自ら「美しい十代」とは言わんだろうとボクは当時から不審に思っていましたが、この美少年の頬にこそ涙は似合います。  

 

意外に知られざるロカビー歌手のほりまさゆきが、当時の人気番組「ザ・ヒットパレード」で歌っています。当時のキャッチフレーズは、和製プレスリー。そういえば佐々木功さんも当時はそうでしたね。  

 

3人娘の一人、園まりはねっちょりした歌唱が男性の人気を集めていました。この歌はピッタリだと思います。  

 

でもこの曲もボビー・ソロの独占ですね。最後はヒットから四半世紀たった1989年のテレビ番組の映像です。歌は3分ごろから始まりますが、渋いです。男の魅力満載です。  

 

イタリアンポップスを連投しました。やはり持ち歌の歌手以外にカヴァーが少なくて残念ですが、次はこの曲をめぐる余談です。

 

 【余談】 エルヴィスの熱唱による「オー・ソレ・ミオ(It's Now And Never)」や「帰れソレントは(Surrender)」が好きだったので、エルヴィスがカヴァーしていないかと密かに期待して探しましたが、残念ながら見つかりませんでしたが、逆がありました。 

 

予想していた通り、ボビー・ソロはエルヴィス・プレスリーのファンだったことを示すエルヴィスメドレーを見つけました。冒頭の「ブルー・スウェード・シューズ」からメチャ上手。以下、「心の届かぬラヴレター」「イン・ザ・ゲットー」「冷たくしないで」そして「It's Now Or Never(オー・ソレ・ミオ)」の5曲。このコンサート時のボビー・ソロの年齢が不明ですが、ボクはこの素晴らしい歌唱で改めてボビー・ソロのファンになってしまいました。もしかして来日コンサートで歌っていたのでしょうか?  

 

プレスリーのイタリア民謡ポップス編を聴いて熱い思いを抱いていたpopfreakには、感激のボビー・ソロでした。ところでTNelvisさん、プレスリーは「ほほにかかる涙」をカヴァーしていないのでしょうか?