ボクは子供の頃、テレビで日本人のシャンソン歌手がでてきて日本語で歌うのを観るのが苦手でした。芦野宏さん、中原美紗緒さん、などサラッと歌われるタイプの歌手はまだしも、思い入れたっぷり過ぎて観ていて恥ずかしくなることがあったからです(汗)。 

 

その中で異彩を放ったのが、丸山明宏さん。この歌を歌う丸山さんの仕草から、ボクはこの歌をヨロメキの歌だと信じて疑いませんでした。♪メケ・メケ ヨロメケ と確かに歌われていた記憶があるのですが、調べてもそんな歌詞ではありません。または三島由紀夫の『美徳のよろめき』が出版されたころでもあるので、少年の好奇心をくすぐられた上での妄想だったのかもしれません。 

 

さてこの不思議なタイトルの曲「メケ・メケ」は、シャルル・アズナブールが作詞し、ジルベール・ベコーが作曲した1953年の歌。シャンソン参考書によれば、題は「メ・ケスク・セ」(だけど、それがどうした)という言葉が訛ったものだそうです。マルティニーク島を舞台にした男女の物語が題材で、日本では丸山明宏の日本語詞が話題となり、ベコーやアズナブールの名が広く知られるきっかけを作ったそうです。 最初はジルベール・ベコーの「メケ・メケ」。ベコーらしい素敵な歌唱です。  

 

次は作詞のシャルル・アズナブールが歌ったヴァージョン。どうやらこの方の歌唱時の演出が好きな人と、苦手な人に分かれるようです。でも2018年9月の日本公演を最後に翌月に亡くなりました。享年94歳だそうです。  

 

さてその丸山明宏こと美輪明宏の「メケ・メケ」のライブ映像です。レコードは1957年発売です(日本語詞:丸山明宏)が、ここでは「メケ・メケ~聞かせてよ愛の言葉を(菅 美紗緒 日本語詞)」の動画をアップしました。  

 

さすがにこの曲の録音・演奏は数少ないみたいですが、最後はお気に入りの日本人の姉妹デュオ、チャラン・ポ・ランタンが千葉のbayfm78で放送した「スットコドッコイ・ラヂオ劇場」(番組トークあり)で歌った放送録音モノです。この歌詞は越路吹雪が歌ったものだそうです。なおこの曲を彼女たちは過去に出演したライブハウスイベント『新春シャンソン・ショウ』(早口言葉のようです、笑)でも歌ったそうです。   

 

アコーディオンがミュゼット音楽を彷彿とさせる、こういうオルタナティヴ・シャンソン(と海外でも評価されているそうです)に積極的に取り組むアーティストは、これからも応援したいものです。