コロナ聴き籠りでリアノン・ギディンズを聴いていたら、この曲を歌っているのに気づきました。
ライナーノーツによれば、この「Black Is The Color (Of My True Love's Hair)」(黒は、私の恋人の髪の色)は、アパラチア山脈周辺で歌い継がれてきた伝承歌で、英国やアイルランドでも古くから歌われて続けてきた曲なんだそうです。
この曲に命を与えた歌手は、ニーナ・シモン。15年以上も前に亡くなっていますが、数年前から再評価の動きがあり、CDや映像が再発されています。正直ボクは、この怨念のこもった(ように聴こえる)歌唱はニガ手ですが、彼女の主張と存在は音楽史に輝いています。このライヴ映像、冒頭でピアノ椅子の高さを調整している係り員の手際よいこと(笑)。すいません、どうでもいい話で。
ボクの最近のお気に入り、リアノン・ギディンズ。大学で音楽を専攻しオペラを学び、いまはアメリカン・ルーツ・ミュージックを歌う。この軽やかながら体幹の座った歌「ブラック・イズ・マイ・カラー」に引きつけられます。2015年の野外ライヴで、本来思いテーマのこの歌を、軽快でスウィンギーに歌うリアノン。初アルバム『TOMORROW IS MY TURN』に収録されています。
やはりニーナ・シモンに尊敬の念をいだいてきたローリン・ヒルもトリビュート・アルバムで「ブラック・イズ・マイ・カラー」を歌っています。これは2018年のロックンロール・ホール・オブ・フェイムのセレモニーでのライヴ映像です。
次の男性デュオもハーモニーが秀逸です。もとペンタトニックスのメンバーだったアヴィ・キャプラン(右の人・脱退したみたいです。残念です)が、ピーター・ホレンスというシンガーとのデュエットです。一聴の価値ありです。お時間のあるかたにオススメです。
黒人女性アーティストだけではなく、ケルテック・ウーマンのメンバーの一人、リサも歌っています。ソロで歌うパフォーマンスは、豪華なステージでの歌唱です。
最後はこの人を措いてこの曲は無しだと思います。ジョーン・バエズの歌唱が古くから人々を勇気づけてきました。彼女が伝承したことも「ブラック・イズ・マイ・カラー」が今にまで生き残った理由の一つだと思います。
歌のメッセージは歌い継がれて、時代を超える。 この静かなだけど強い主張は、時代を超えて聴く人々に伝わり、また歌い継がれる。伝承歌のたくましさを感じさせてくれる「ブラック・イズ・マイ・カラー」です。