ディズニー・アニメで世界に知られるようになった多くのグリム童話。『シンデレラ』もその一つと言われていますが、これもグリム兄弟原作より以前に、同様の物語が民話・童話の類で多くあったという説もあります。

 

つまりは、著作物に「0=無」からの創作はあり得ないということなのでしょう。音楽も映画も小説もしかり。言語を使えば言語の、物語を語れば過去のどこかの物語の一部を複製していることになるのですね。


さて今日のお題は、1950年のアニメ映画『シンデレラ』の挿入歌として知られている「夢はひそかに」(原題:A Dream Is a Wish Your Heart Makes、ボクの持っているディズニーLP2枚組(冒頭の写真)には「夢はあなたの心の願い」という別の邦題もあります)です。Dupinさんからリクエストいただきました。オリジナルアニメの劇中で歌っているのは、吹き替え役のアイリーン・ウッズです。でも『シンデレラ』では、語感とリズムが軽快な「ビビディ・バビディ・ブ」も広く知られていますね。

 


ワン・コンテンツ・マルチ・ユース戦略に長けたディズニー社では、2015年に実写映画にリメイクしています。この時は実写版の劇場用映画『シンデレラ』では、主演のリリー・ジェイムスが劇中も歌っています。サントラも彼女の歌唱です。

 


珍しいヒラリー・ダフが歌った「夢はひそかに」のショート・ヴァージョンがYouTubeに上がっています。それにても実質歌唱部分が30秒とは、短かすぎじゃあ(笑)?

 


実力派で、ボクが勝手にヴォードヴィリアンの系譜を継いでいる最後のアーティストだと思っているベット・ミドラーも1977年のアルバムに収録しています。歌上手いのよねぇ、この方。だから映画『フォー・ザ・ボーイズ』は、まさに適役だったでしょ。映画でも彼女のパフォーマンスそのものが超素晴らしいのですよ。

 

 

年齢が推測できないシェールも歌っています。この方は、ソニーとシェールのコンビで多くのヒット曲を放ってきましたが、映画俳優としても大成功。アカデミー主演女優賞(1987)も受けています。旧聞に属しますが、日本のポップグループ、Perfumeでお馴染みの変声ソフト“オートチューン”を最初に使った「ビリーヴ」の大ヒットもシェールでした。

 

 

珍しく男性シンガーがこの曲を歌っていました。それも骨太系で声量たっぷり系のマイケル・ボルトン。あの首が顔より太い人といえばお分かりですよね(そんな人は佐藤琢磨しか知らんって?笑)。これはディズニーの正式録音映像だそうです。

 


女性のトリはリンダ・ロンシュタット。伸びやかな声を聴くと、感慨無量になるのです。ボクの個人的な趣味ですが、インターネットも検索エンジンもない時代にラジオで聴いた「Somewhere out there」を探して探して中古CDショツプで探し当てて以来、リンダ・ロンシュタットは最後の締めくくり歌手なのかもしれません。

 


アニメの成功⇒ミュージカル化で成功した『美女と野獣』。ほとぼりが冷めたころには実写映画で3度目のどじょう。『ライオン・キング』もアニメの成功、それにあのジュリー・テイモアの奇抜な擬人化ステージ演出によって世界中で大成功を収め、昨年は同じ題材のアニメを「超実写版」というネーミングで成功させるディズニーは、世界No.1のエンタメ企業でしょう。豊島園もディズニーリゾートに置いてけぼりを食らった気分だったんでしょうね。

 

改めてLP棚から引っぱり出した2枚組『ウォルト・ディズニー名作映画主題歌集』(1981年発売)には、「三匹の子ぶた」「白雪姫」「ピノキオ」「ダンボ」(これも実写化されましたね)「バンビ」「不思議の国のアリス」「ピーターパン」「わんわん物語」・・・。知らない作品がないディズニー。感服です。そうそう1940年の『ファンタジア』にも魅せられました。


誰でも知っている映画と音楽を長年にわたって世界に発信してきたディズニー。

 

ご本人は亡くなっても、1928年に『蒸気船ウィリー』に登場したミッキー・マウスも92歳でますます稼ぎまくっています。しかし不死身のキャラクターにも次の著作権消滅の期限が後3年となりました。1998年にシェールの元夫だったソニー・ボノが著作権の延長法案を成立させたように、今度も万全の体勢を組んでさらなる延長法を通すのでしょうね。前回はミッキー・マウス法と呼ばれましたが、今回は無敵のウォルト・ディズニー法とでも呼ぶことになりますよね、きっと。