「星に願いを」とくれば、次なるディズニー曲はこれ。

 

1937年の世界初長編アニメ映画『白雪姫』で使われ、スタンダード曲としていまも愛聴されている「いつか王子様が(原題:Someday My Prince Will Come)」です。これもまだ記事にしていなかったとは不覚です。

 

いわゆる王子様伝説を世界の未婚の女子に振りまいた功罪は一人ウォルト・ディズニーにある訳ではなく、原作者のグリム兄弟にも(笑)。結果的にディズニーにネタ本を提供したわけですから・・。いまや世界を席巻する最大のエンタメ企業は、ドイツの昔物語を編纂したグリム3兄弟に足を向けて寝られないのでは?

 

ディズニーアニメ『白雪姫』で世界を虜にしたアニメの世界。その中で歌われる「いつか王子様が」は、白雪姫の声優を担当たアドリアナ・カセロッティが歌唱しています。ラリー・モレー作詞、フランク・チャーチル作曲です。

 

 

基本的にこの正統的歌唱法でこの曲を歌うことがカヴァー歌唱の主流です。最近のディズニー・オン・クラシックでも、このようなクラシック唱法でマンディ・ディクソンが歌っています(シアター・オーブにて。「I'm Wishing」とメドレーですが、短いです)。

 


さてこの「いつか王子様」がを世界に広めたジャズ奏者がマイルス・デヴィス。ブルーベックもディズニー曲集アルバムを出していますが、あのマイルスが繊細なミュートトランペットで録音、しかもアルバムタイトルにも採用したことも多くのジャズミュージシャンに“ディズニー曲もやっていいんだよ”と背中を押したようです。

 

パーソネルは、Miles Davis (trumpet), Hank Mobley(tenor sax), John Coltrane (tenor sax), Wynton Kelly (piano), Paul Chambers (bass), Jimmy Cobb (drums)、1962年3月20日NYCにて録音。

 

 

アヴァンギャルドなジャズ歌手、カサンドラ・ウィルソンも録音しています。私見ですが、彼女はマイルス的モード手法を歌唱に適用したヴォーカリストの革命児で1999年のアルバム『Traveling miles』にも収録されています。この作品はマイルスが死んで数年度に制作されたマイルスへのオマージュともいうべき挑戦的なアルバムでしたが、凡人のボクには肩が凝ってしまって(笑)ほとんど聴いていません。真面目に聴いたのはこの1曲くらいかな。

 


次はレナ・ホーンのアップ一辺倒のTV出演時の歌唱です。黒人女性として解放にも活躍した実績に敬意を表して、彼女の歌いながら移ろいゆく表情の多様さを観てしまいました。

 

 

次はヘレン・メリルが、1963年2月に日本で録音したアルバムから「いつか王子様が」。パーソネルと録音データは以下の通りです。

 

Helen Merrill (vo)
猪俣猛&ウエスト・ライナーズ Takeshi Inomata and West Liners
鈴木重夫 Shigeo Suzuki (as,cl), 原田忠幸 Tadayuki Harada (bs,bcl), 仲野彰 Akira Nakano (tp), 稲垣次郎 Jiro Inagaki (ts,fl), 前田憲男 Norio Maeda (p,arr), 滝本達朗 Tatsuro Takimoto (b), 猪俣猛 Takeshi Inomata (ds)
Album:" Helen Merrill / Helen Merrill In Tokyo "
Recorded:Tokyo, February 12 & 13, 1963

 


日本では余り知られていない黒人女性ジャズ歌手、エセル・エニスが、ディック・ハイマン楽団をバックに1964年に録音した「いつか王子様が」。なかなか素晴らしい。

 

 


歌もの最後は、ボクが大好きなリンダ・ロンシュタットです。ヴァースより歌っている数少ないヴァージョンで、丁寧に伸びやかに歌っています。イーグルスがこの人がデビュー当時でシンガー・ソングライター時代のバック・バンドだったことも驚きです。

 


もう一人、このディズニー曲をピアノで世界に広めたビル・エヴァンスの1965年3月の動画が見つかりました。この人がマイルスバンドにいた時に、マイルス本人に大きな影響を与えたことが分かるような演奏です。

Bill Evans - p
Chuck Israels - b
Larry Bunker - d

 

 

ディズニー社は、今やアニメ、実写映画、ミュージカルのワンコンテンツ・マルチユースをほしいままにしていますが、その音楽も世界に夢と希望をもたらしましたね。