1977年に発表されたクイーンのアルバム『世界に告ぐ(NEWS OF THE WORLD)』の1曲。1977年のイギリスといえば、セックス・ピストルズに代表されるパンクな時代。

鉄の宰相に対する若者のフラストレーションが沸点に達したといわれる同じ時期に、同じイギリスでクイーンは「We Are The Champions」と謳い上げました。

後にブライアン・メイは、「この歌は、自分たちクイーンがチャンピオンであると歌っているのではなく、一人一人がチャンピオンであることを歌った」と釈明したそうです。

というのは、このタイトルがクイーンの思い上がりを示すとして、彼らを批判する記事やコメントが出回ったためだそうです。なるほど、「Champions」と複数形ですからね。


しかしこの曲はいつ聴いても、壮大な高揚感に陶酔できますね。サッカーやその他、勝敗を目指す競技場でこの歌ほどピッタリフィットする曲は他にないのでは?と思えるほどです。

なによりも、この曲を作ったクイーンのヴォーカル/ピアノ、フレディ・マーキュリーの唯一無二の歌唱力がなくては達成しなかった音楽表現だと断言できると思います。ボクはブタペストでのライヴDVDなどを繰り返し観るにつけ、
かれの“圧倒的なパフォーマンス”に改めて感動してしまいます。

その公式映像から。

QUEEN




フレディ・マーキュリーは、1991年にHIV合併感染症で45歳で死亡します。その追悼のイヴェントで、ライザ・ミネリがバンド・メンバーをバックにこの曲を歌唱しています。

Liza Minneli with QUEEN




この曲を歌うのは、フレディの歌唱力と比較されることを思うと勇気のいる行為でしょう。昨年のQUEEN再結成ライヴでは、アダム・ランバートがヴォーカルを担当しました。まさに“アンダー・プレッシャー”だったでしょうね。

ミュージカル畑出身らしい堂々としたパフォーマンスはさすがですが・・。

QUEEN and Adam Lambert New Years Eve London 2014




驚いたのは、Green DayがLiveでこの曲をカヴァーしています。ボクはたまたま数年前スイスでかれらのライヴを観る機会があり、3ピース(ただしキーボードのサポートあり)ながら見事なライヴ力に感動しました。

かと思うと、ビリー・ジーン・アームストロング(ヴォーカル/ギター)は、ノラ・ジョーンズと50年代~60年代に活躍したエヴァリー・ブラザーズのアルバムごと丸カヴァーするなど、実に多彩。
ブルー・アイド・ソウル好きなボクは思わずCD買ってしまいました(苦笑)。しかもインド人を父に持つノラとのデュオですから、不思議な輪廻でしょう。




最後は英国の人気者、ロビー・ウィリアムス。この人はTAKE THATというポップ・グループのメンバーでしたが、解散後ソロとして絶大な人気を誇っていました。


Robbie Williams + QUEEN これは、映画 "A Knight's Tale"に使われたようですが、ロビー君、中世の鎧を付けた戦いの映画の主題歌を歌うには「ひ弱さ」が気になりますね(笑)。ファンのかたには申し訳ないですが。



ただロビー・ウィリアムスの人気のほどには敬意を表しています。ボクもCDを持っていますが、とても素晴らしい内容です。

とりわけアメリカの女優ニコール・キッドマンとのデュエット「恋のひとこと」(Somethin' Stupid、シナトラ父娘でヒットしたデュエット曲で、大瀧詠一と竹内まりやもカヴァー)がいい味なのですが、正直ちょっと悔しい思いです(笑)。


かくして、われらがチームなでしこは、アメリカとの決勝戦で“We Are The Champion”となるのでしょうか。単数形のChampionへと声援を送りたいものです、この曲を歌いながら。