これからが桜の季節。わずか10日ほどの開花期間のために、355日間待つ気持ちは日本人の無常観につながるような気がしますが、桜が散った後にできるさくらんぼも楽しみですね。中でも(贅沢ですが)ボクは佐藤錦が大好きです。

さて本日のお題は、古いシャンソンの名歌「さくらんぼの実るころ」です。

この歌は、ベル・エポックよりも古い時代の曲で、今でも歌われる数多くのシャンソンのなかで最も古い曲の一つと言われています。

ベル・エポック。「良き時代」とよばれるのは、1889年のパリ万博(1900年にも、川上音二郎一座が出演して人気を呼んだパリ万博がありましたね)から第一次大戦勃発した1914年までの時期におけるパリの音楽文化が繁栄した時代を指すそうです。


さて「さくらんぼの実るころ」は、1866年にジャン・バチスト・クレマンが詩を書き、歌手兼作曲家のジョゼフ・ルメール・ダルシェが曲を付けて、カフェ・コンセール(歌を聴かせるカフェ)で歌ったそうです。

その後クレマンは政治活動を行うようになり、反政府の論陣を張ったとか。投獄から解放されてからは、パリ・コミューンの幹部として指導的役割を果たしたそうです。

クレマンは1985年にこの曲をパリ・コミューン時代の同志、ルイーズの思い出に捧げています。やはり歌には愛が創作の動機だったりするのですよね。


最近「さくらんぼの実るころ」といえば、ジブリの映画で使われたことで知られています。

歌ったのは加藤登紀子、『紅の豚』の中で印象的でした。




次は、かの金子由香利のライヴ音源です。この余りにドラマティックなところが日本のシャンソンへの評価が分かれるところだと思うのですが・・・・。




フランス本国に戻って、ボクの大好きなコラ・ヴォケールです。なんといっても彼女の「モンマルトルの丘」のスケール感は忘れがたいものがあります。




デュエットもいつくかあるのですが、選んだのはメガネのナナ・ムスクーリとシャルル・アズナヴール。1974年の映像ですが、ナナはギリシャ生まれでシャルルはアルメニア系だそうです。歌に生まれは関係ありませんね。




最後はさすがのイヴ・モンタンで締めたいと思います。




さて、さくらんぼで思い出すのは佐藤錦(くどいですが)。

東京は青山の表通りを少し入ったところに人気の洋菓子店、キルフェボンがあります。お酒の苦手なボクは、当然ながら甘党で和菓子もケーキも大好きなのですが、いつも女子に人気の同店には女性客が溢れていて、なかなか店内に入る勇気が湧きませんでした。

ある日、閉店間際の遅い時間に通りかかったら、お店は空いていてカウンター前には、おいしそうなさくらんぼのタルトが・・・・。

しかもビッシリつまった佐藤錦の見事なでき映えに目を奪われ、このチャンスを逃すまいと入ってすぐに「さくらんぼのタルト」を間髪を入れずオーダーしたのでした。

箱詰めが終わってお勘定する時に驚いたのは、1カットのお値段がなんと1200円!!もはやキャンセルすることもできず、持ち帰っていただいた佐藤錦のタルトの美味だったこと。

でもちょっとしょっぱい味がしましたかねぇ(苦笑)。


追伸、リクエストいただいたDupinさん、ありがとうございました。