1959年にデビューした双子のデュオ、ザ・ピーナッツのデビュー曲が「可愛い花」です。原題はフランス語で"Petit Fleur"、「可愛い花」という日本語タイトルがつけられました。

ザ・ピーナッツのオリジナル・レコード・ヴァージョンです。



作曲したのは、戦前から活躍していたジャズ界のクラリネット奏者の第一人者、シドニー・ベシェです。この人は、ニューオリンズ生まれの黒人クラリネット奏者で、1940年代にはルイ・アームストロング(Tp)と人気を二分するほどでした。
日本にもニューオリンズ・ジャズ・ファンにはお馴染みの奏者です。
彼がこの曲を作ったは1951年で、同年にドイツ生まれの白人女性と結婚した時に最愛の妻に捧げた曲だそうです。当時ベシェはパリに住み、1959年に亡くなるまでパリを拠点に活躍していたためか、フランスの曲としてシャンソン歌手が録音しています。
亡くなる前年の1958年ごろになって人気曲となり、(おそらく)それが日本にも伝わってきてザ・ピーナッツの録音につながったのではないか、と思います(ボクの独断ですが・・・)。

フランスを代表する映画女優のダニエル・ダリュー、その美貌で世界の男性の憧れの的となりました。1917年のお生まれですが、まだご存命のようです。




次は日本で人気のあったジャクリーヌ・フランソワの歌で。




YouTubeで異色の黒人歌手、アンジェリク・キジョーがフランス語で歌っているライヴ映像を見つけました。ザ・ピーナッツの「可愛い花」とは別曲みたいです。

以前ブルーノートでこの人のライヴを観たことがあります。声力に圧倒された記憶があります。CDも2枚くらい持っていますが、まさかアンジェリクがこの曲をカヴァーしているなんて、意外!!



さて、インスト編としては、なんといっても作曲した御大、シドニー・ベシェの演奏で。これは1954年12月パリ・オランピアでのコンサート演奏だそうです。




日本でクラリネット奏者といえば、いまは北村英治さんですが、「小さな花」(こちらの邦題も通用します)といえば鈴木章治とリズムエースだった時代がありました。日本ではピーナッツ・ハッコーさんの演奏で人気があったのですが、残念ながらYouTubeには見つけられませんでした。もしかしてザ・ピーナッツのデビュー曲になったのは、この曲の奏者ハッコーさんの名前(ピーナッツ)のせいかもしれませんね、え、そんなことはないか(笑)。



最後は、1年少し前に亡くなったザ・ピーナッツのお姉さん伊藤エミさん(目の両方の横にホクロがあったと記憶しています)を追悼してもう一度。

ザ・ピーナッツのTV出演ヴァージョン、お洒落なアレンジがステキです。




ちなみに「petit」には、「小さな」と「可愛い」の両方の意味があるとのことで(白水社の仏語辞典)、演奏家によってタイトル表示が変わるのも珍しい曲のひとつですね。