$♪blowin' in the music ブレル最後のアルバム(マイコレクション)

歌を聴いて、その人の死を予感させる体験をしたのは初めてのことでした。

ジャック・ブレルの最後のアルバムとなった『偉大なる魂の復活』。これが発売されてすぐに入手して聴いたとき、なぜかボクはブレルの死期を予感しました。ああ、これが最後だなと。

例えれば、“黒い声”というべき心証風景が今も記憶にあります。これで最後だという潔さ、そんなLPはいまもボクの手元にあります。


現題は単に『BREL』。実にシンプルなタイトルですが、このLPの解説を書いておられる蘆原英了氏の文章の熱さも尋常ではありません。長くシャンソンと関わってこられた氏の直観がこのタイトルを生み出したのかもしれません。

果たしてジャック・ブレルはこのアルバムを1977年に発売した翌年、50歳を待たずして亡くなりました。

最近のボクは、『最後のマイ・ウェイ』『ノーコメントbyゲンスブール』とフレンチ音楽モードになっておりまして、今回はブレルの最も有名でカヴァーの多い「行かないで」(Ne me quitte pas)を取り上げてみます。


やはりご本人ジャック・ブレルの汗をかきながらの熱唱で聴くのが一番ですが、この動画はリンクでしか鑑賞できません。ご了解ください。

 ⇒リンク


この曲は1959年に発表されたもので、とても古いナンバーですが、翌年のADFディスク大賞を受賞したLPに収録されています。

記録によれば、フランスでのカヴァーも多く録音されたようですが、宝塚歌劇がいち早く取り上げたとのこと。さすがですね。

英語の歌詞もつけられて(If You Go Away)、多くの英語圏の歌手もカヴァーしました。英詞をつけたのはロッド・マッケン。英語ヴァージョンでの最初のヒットはこの人だそうです。元はイタリアの歌「この胸のときめきを」を英語詞で(プレスリーに先駆けて)ヒットさせた最初の人でもあります。

ダスティ・スプリングフィールド



その後は英語で歌う人が圧倒的に多くなりました。この人の説得力も素晴らしいです。

バーバラ・ストライザンド




つぎはダスティと同じイギリスの代表的歌手、シャーリー・バッシーで。

この人に「If You Go Away」と絶唱されると、行ってはいけないと羽交い絞めされているような気分になるのはボクだけでしょうか。(笑)



なぜかフランスのこの人も英語です。

珍しく淡々と歌うパトリシア・カース。去りゆく人は叫んでもダメという機微をお分かりのような気がします。



本日最後は、英語詞をつけたロッド・マッケンご本人の歌唱です。

ロッド・マッケン(英語詞)




YouTubeを検索したら、やたらカヴァーが多くありますので、2回目は他の歌い手の方たちで聴きたいと思います。