封切りから1週間経てば、少しは座れるのではないかと先週の日曜昼間、近郊シネコンに出向きました。しかし館内は肩すかしをくらうほどの閑古鳥で、ざっと見回しても1割程度の入り。

あれだけ前評判になった映画でも、こんな実態なのかと映画関係者でもなんでもないのに悲しくなりました。

さて気持ちを切り替えて・・・。

映画については幾多の記事、コメントがあるようですが、ボクが着目したのは、劇中流れる唯一の歌「ペニーズ・フロム・ヘヴン」についてです。1936年の同名映画のために書かれたナンバーです。(ちなみに同年のアカデミー主題歌賞にノミネイトされたとのことですが、賞は逃したルーザーズ(笑))

無声映画とはいえ、ほぼ全編音楽が流れています。それも1920年代をほうふつさせるストリングスオケの王道の美メロや、グッドマンを思わせるスウィンギーなテーマ曲など。

(蛇足ながら、これはベニー・グッドマンを意味しますが、映画ではジョン・グッドマンがいい役柄を演じています(笑))


その唯一の歌唱は、我が国では知られざる(もちろんボクも知りませんでした)ローズ・マーフィー30年代に活躍した黒人シンガーとのことです。コケティッシュな歌い方がチャーミングですが、時代が時代だけに録音はモノーラル。

The Artist/Rose Murphy




ちなみにボクはあまりにこの映画音楽が素晴らしすぎて、売店でサントラCDを買いましたが、肝心のライナーにはローズ・マーフィーについては触れていませんでした



$♪blowin' in the music


↑ローズ・マーフィーのジャケ写をアマゾンで見つけましたのでご参考までに。この映画は隠し味がいっぱいあってDVDがでたら、ぜひ買いたいと思います。

この映画に関心をお持ちのみなさまへ。この調子では連休前に終わるかもしれませんよ。お急ぎください(涙)。



さて次は、かのビリー・ホリデイです。バックはテディ・ウィルソンPなどソウソウたるメンバーです。





個人的には、ビリー・ホリデイを聴くときは、心構えが必要な気がします。正座が望ましく、ましてや寝そべりながら聴くようなことはレディ・デイに失礼なようで(笑)。


気分を変えて。軽快にステップでも踏みたくなるマクガイア・シスターズで「ペニーズ・フロム・ヘヴン」。





アメリカが健全なエスタブリッシュメントだった時代のシンボル、ドリス・デイもステキです。






さてさて真打登場。「ペニーズ・フロム・ヘヴン」とくれば本命はこの人。1936年の同名映画に主演し、劇中歌って大ヒットしたとのことです。


60年代の貴重な動画を見つけました。ビング・クロスビーのTVショウ出演映像から。口パクかどうかなどはわかりませんが、この声を聴くだけで、とろけそうです。素晴らしい!!!




映画『アーティスト』で思い出す場面は、いっぱいありすぎて語れませんが、たとえばトーキー映画第一号『ジャズ・シンガー』(1927)のアル・ジョルソン、また30年代に華麗なダンス映画で一世を風靡したフレッド・アステア&ジンジャー・ロジャーズ(ちなみに映画の男優の踊りはアステアの軽快流ではなく、『雨に唄えば』のジーン・ケリーの重量系かも(笑))、それに映画音楽のバーナード・ハーマンなど。

あ、それにラスト・シーンは『蒲田行進曲』(笑)。


最後におまけ。一か所だけ同時録音の実音が流れる箇所があります。ご覧になったかた、お気づきになりましたか?フフフ。内緒にしておきます。