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鬼の子については母親から聞いたことがあったし、テレビでもよく取り上げられる話題だった。今年になって急激な新展開があり、世間は10数年ぶりの盛り上がりを見せていた。
まず、鬼の子支援団体会長が亡くなったとの報道の後、半日と経たず新会長がファーストオーガになったことだ。ファーストオーガとは文字通り“最初の鬼の子”のことで、世界で最初に確認された鬼の子だ。おそらく今年で20才であろう若さで新会長の座に君臨した、顔も本名も不明な人物に世の中は賛否両論の嵐だ
もう一点、早くて今日4月1日から鬼の子が一般の教育機関(小・中・高等学校)で教育を受けることになったことだ。今まで鬼の子は保護施設で教育を受けていたらしいとの報道はあったが詳細ははっきりしていなかった。先ほど剣太が観ていたニュースによると、「先代は長らく過保護過ぎた」と新会長は言っているらしくカッチリ管理保護されていた鬼の子に普通の生活、
教育をさせようとのことだ。それにも賛成反対と今日まで色々な番組で討論されており、「差別」「イジメ」といった問題について心配されている。
「・・・まあ、とりあえずまだ関係ないか」
一人呟いたものの、少しでも鬼の子についての知識を身につけたいと考える剣太にとっては溜息を吐かずにはいられなかった。
「おはよー」
「なんだまたお前と同じクラスかよ~」
クラス替えの張り紙に従って剣太は2-Aクラスに移動すると自分の席に腰かけた。周りは同じクラスになった喜びや新たなクラスメートとの挨拶に盛り上がっていた。知ってる者がいないか教室を見回していたところ、目の前に3人の女生徒が立った。
「百瀬剣太よね?」
「あ、坪根さん・・・」
剣太と前のクラスが一緒だった坪根妃芽(つぼね ひめ)、整った顔立ちにウェーブがかったロングヘアー、スタイル抜群で成績優秀、医者を父に持ち金持ちで聞いたままのお嬢様。その上性格は「自分が注目されていないと気が済まない」といった感じで、剣太にとっては一番関わりづらい人物だ。ちなみにその後ろの女生徒はいわゆる“お付きの人”。
「男子で前のクラスだったの貴方だけだから一応礼儀として挨拶しておくわ、だからって変な意識持たないことね」
「う、うん・・・またよろしくね」
気持ち睨みながら去っていった彼女らを見送りながら剣太はこれからの1年すでに不安で冷や汗をかいた。
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