45年も前に読んだ本のことを突然思い出して、仲間に尋ねたら、何人かはその本を覚えていて、なおかつ一人がその本を貸してくれた
表紙も頁もセピアカラーになった本を大事に読ませていただいた


記憶の中では病弱な若者とシスターの往復書翰だったが、実際は海外留学中のとても有能な青年と日本で待つ父母との文通の記録であった(記憶とはいいかげんなものだ)

私は高校時代の宗教の時間にこの本を紹介されたので、宗教に関する本なのかと思っていたが、たしかに彼の宗教観の変遷が根底にあるものの、一人の青年の心の成長の記録の本であった

文才にも恵まれ、アンナプルナにも登れる体力にも恵まれ、音楽留学を仕事につなげる語学と対人スキルにも恵まれ、なおかつフルート奏者として有望視された彼は、結婚直後新妻とともにアンナプルナを目指して帰らぬ人となる、、登山に行く直前の父母への手紙の最後の言葉が「ではまた」だったのだ
登山への彼の希望は 彼の人生への希望そのものでもあった