二度も廃案になった共謀罪の新設

 話し合うことが罪になる共謀罪新設法案は、2003年の通常国会にはじめて提出されましたが、衆議院の解散のために廃案となりました。その後再び国会に提出されましたが、これも3会期にわたって継続審議となり、2005年の通常国会でようやく審議入りしました。しかし、国会議員、市民、法律家団体などの強い反対の声の前に審議は進まず、衆議院の解散により再度廃案となりました。
 この経過のなかに、共謀罪新設法案がいかに問題法案であるかが示されていると言うことができるでしょう。にも関わらず、政府・法務省は、共謀罪の新設をあきらめていません。

内心、言論・表現の自由を侵害する違憲の法案

 共謀罪は、法律違反について行おうと話し合い、「合意」しただけで、その準備さえ始めなくとも処罰されるというものです。
 対象となる法律違反は、殺人、誘拐などの重大犯罪のみでなく、万引きを含む窃盗罪、消費税法から道交法、水道法、公職選挙法まで実に広範で、約620種類にものぼり、市民生活のすみずみにまで関わります。
 日常生活の中で法律に触れることを考えたり話し合ったりすることはあるものです。しかし、話しあい、合意することと、実際に行動することは全く別のことです。共謀罪は、憲法の保障する内心、言論・表現の自由を侵す違憲の法律です。

全ての団体を対象にした取締法

 政府・法務省は、共謀罪は組織的な犯罪集団を対象とするものとしていますが、法案では対象団体を限定しておらず、市民団体、労働団体など全ての団体が対象となっています。日本の判例では2人以上集まれば団体とされます。共謀罪は結社の自由を押しつぶす全ての団体の取締法です。

犯罪の実行を処罰する刑法の原則を踏みにじる共謀罪

 日本の刑法は犯罪が実際に行われ、被害が生じたときにはじめてその犯罪行為を処罰することを原則としています。共謀罪は、この日本の刑法体系を根本からくつがえし、これまでには考えられなかった、話し合っただけという段階で処罰されることになります。そうなると、誰でも処罰される恐れがあります。

自由・人権・民主主義を守るために

 共謀罪の対象は、話し合うことの内容です。犯罪が生じていないのに共謀を立証するためには、室内盗聴をはじめ盗聴法の適用が拡大されることは必至です。警察の権限が拡大し、対象団体へのスパイの潜入や密告の奨励など市民相互の信頼が失われ、厳しい監視社会となって行きます。自由に考え議論したり、まして政策批判をすることもできなくなってしまうと私たちは危惧します。共謀罪の新設は、自由と人権と民主主義の死をもたらすでしょう。

 私たちは、話し合うことを処罰する共謀罪の新設を絶対に許すことはできません。政府・法務省が共謀罪の立法化を断念することを強く求めます。



盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会
http://tochoho.jca.apc.org/ut/kss0915.html