平岡ダムの北東、天竜川支流の遠山川にかかる要長橋です。
記事作成時点ではGoogle mapに描かれていません。
飯田線が遠山川を渡る西側に並行してかかっています。
橋へのアプローチは少し遠回りが必要で、普通に国道418号線を走っていると存在に気付かず通り過ぎてしまう。
国道の藁野トンネル(地図北側)の南側坑口近くの脇道を東へ入り、国道の下をくぐった先が要長橋となる。
地図上では飯田線と平行して細いトンネルが描かれているが、これが閉鎖されていて通行できないためこのような回り道が必要になる。
このトンネルの正体についてはすぐ後で触れる(すでにお気づきの方もいると思うが)。
要長橋南から。吊橋だ。この後ろに閉鎖されたトンネルがあり、道はここで行き止まりとなっている。
西から。奥に見えるのが飯田線の遠山川橋梁。
橋台から突き出す耐風索を張るための支柱がカッコいい。
折角なので遠山川橋梁も。手前に3.8mの高さ制限標識が立っている。
主塔。
主塔に名前や架設年は見当たらず、こちらの看板で確認できた。
補修とあるが、この平成七年に現在の橋に架け替えられたらしい。
正対。床はグレーチングで下が見える。
対岸へ渡ると正面にトンネルが現れる。
手前側は土砂で埋まって扁平に見えるが、本来は奥のような縦長の形のトンネルだ。
アンカレッジは坑口の上に設けられ、さらにその上に「要長𣘺」の石碑が立っている。大正四年とあるので以前の橋のものだ。
この道の成り立ちは後ほど触れるとして、トンネルの先へ進んでみる。
一つ目のトンネルは短く、中は明るい。
道は平坦で、すぐに第二のトンネルが見える。
こちらは多少長さがあり、中央は光が届かなくなっている。
例によって準備なしで来たのでスマホのライトしかないが、向こうが見えているので安心して突入できる。
内部に水が溜まっている等もなくと歩くのに問題はなかった。
トンネルには天井に何かを吊っていたような金具や…
待避所のようなスペースがある
ということでこのトンネルの正体は(もうとっくにお気づきかもしれないが)、飯田線が今の西寄りの経路に付け替えられる前の廃線跡なのだった。
下流の平岡ダムの完成によって、昭和三十年八月に満島駅(いまの平岡駅)から為栗駅の間の経路が付け替えられてこちらは廃線となった。
そう思って見るといかにも線路跡っぽい風景だ。
現在の要長橋は人道橋となっているが、先代は自動車が通れるサイズだったらしく、二つ目のトンネルを抜けた先には潰れた廃屋と放置されたクルマが残っている。
さらに進むと現在の経路に合流する形で線路の脇へ出たので引き返す。
元来た場所へ戻り、橋の南側の廃トンネルへ。
こちらはぴっちりフェンスで覆われて通行できないようにしてあった。
こちらは廃線後に自動車用トンネルに転用され、現在の国道のバイパスが完成するまで使われていたようだ。
そして最後に残念なお知らせ。
この訪問のあと、要長橋は「吊り橋老朽化のため」通行止めとなってしまった。
期間は「当面の間」。
ぶっちゃけこのまま廃橋となるのではないかという気がする…。
皆さんも気になる橋があったら躊躇せず渡りましょう。
いつまでもあると思うな親と橋。
一度生を得て、滅せぬもののあるべきか。
永久橋なんて信じるな。