今日は「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」という本を読みました。
第一感は、独ソ戦が桁外れの歴史上稀に見る残虐な戦争であったこと。数字で見れば、ソ連側で2700万人の死者、ドイツ側も800万人の死者を失いました。そんな独ソ戦はいかにして起きたのか、いかなる惨劇が起きたのか、とても考えさせられる一冊でした。
ポイント①
独ソ戦を通常戦争、収奪戦争、絶滅戦争の三重の円で語る。専門知識のない読者でも、明快な理解を得ることができ、ドイツの「世界観戦争」とソ連の「大祖国戦争」が激突した場で、独ソの指導者は何を思い、いかなる惨劇が繰り返されたのかを知ることができる。
ポイント②
「独ソの失策」
スターリンは、大粛清によって優秀な軍人層を葬り去り、独の侵攻への対策も後手に回った。一方で、独は、対ソ戦の遂行において、敵の重心は何であるかを考えなかった。あるいは、それはモスクワに違いないと、確証もなしに信じ込んだ。その結果、急速に力を失った。
ポイント③
ソ連軍の反撃に危機感を抱いたヒトラーは「退却してはならない」という仮借ない命令を下し、一方のスターリンは、ソ連軍の脱走兵を射殺する「阻止部隊」を配置した。その上、民間人の虐殺、捕虜への残酷な仕打ち。 スターリングラードの市街地戦は凄惨そのもの。憎悪をむき出した戦い。人間は、いついかなるときにこんな蛮行を行なうことができるのか。ゾっとした。
ポイント④
「悪いのはヒトラーであり、そのせいでドイツは敗戦した。ユダヤ人虐殺など悪事を働いたのも武装親衛隊などナチの軍隊である。数のソ連軍にドイツ軍は質で勝っていた」という神話が、未だに日本の独ソ戦の理解となっていた。それに本書は切り込み、そうした旧来の史実をアップデートした。
ポイント⑤ 意外な気づき
p.96「ドイツのソ連占領において特徴的なのは、一元的に責任を持つ管轄省庁がないことであった」
多元支配はむき出しの闘争を生む。そして、そこで勝ち残ったものが権限を得る。俗流ダーウィニズムの「適者生存」。対立していたものの、収奪を推進する点では一致。自らの功績を誇示しようと、急進的な占領政策につながる。
「独ソ戦」は知っていても、あんまりピンとこなかった昨日の自分が恥ずかしい。国際的な摩擦が強まる中で、人間が再び悪魔にならないように。再び惨劇が起きないように。