これは私がお世話になっているバイクショップのスタッフの方から聞いた話なのだが、ある常連のお客さんからパーツの取り付け方法を尋ねられた時のこと。
いくつかの方法を提案した後、「これは極端な方法ですが」と前置きし(この方法では元に戻せなくなるので)、その方法を伝えたところ、それを聞いていた他の常連さん数名の内の一人が「うわあ、このオッサン頭おかしい!」と、叫んだのだそうだ。冗談ではなく、本気で罵ったのだそうだ。
更に、見下した表情で「バッカじゃねえの?」と続けたとのこと。
別の常連さんが、「いくら客でも言って良いことと悪いことがあるだろう」と注意したそうだが、それを全く意に介さず、「だって本当のことじゃん?頭おかしいし、バカじゃねースか!」とその常連さんにキレ気味で言ったそうだ。
このスタッフは大変明るく誠実な方で、整備も接客も非常に丁寧に行ってくれるので、お客さんからの評判も良い。私は彼がいるからこのお店に行っているようなものである。
その彼が、怒りや悲しみ、悔しさを滲ませた表情で私に語った。
「私はこの仕事を何十年も続けてきました。お客様あっての仕事です。それは重々承知しています・・・しかし、ここまで言われなくてはならないのでしょうか?」と。
更に、「あのお客さんにこちらが感じたことを述べ、話し合いをしたいと申しでましたが、そんな必要はない。やはりこちらがおかしい、悪いのだと言われるばかりで・・・」と、うなだれて話した。
私は言い様の無い感情が湧き出るのを感じた。そして、自分や彼を慕う全ての人々が侮辱されたような感覚に見舞われた。
おそらくその客は「自分はお客様だ お客様は神様だ 何をしてもいいのだ」
とでも思っているのだろう。
しかし「お客様は神様」とは店側が思うものであり、客側が思うものではないと
私は考えるのである。

