アメリカ人女性が収集した浮世絵が初めて里帰りしました。
「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション」展、
大阪市天王寺にある大阪市立美術館で開催中です。
※取材で伺い、会場内は許可を得て撮影しています。
メアリー・エインズワースは
1867年、アメリカイリノイ州生まれ。
1906年に初めて日本を旅し、その時であった浮世絵に魅了され、収集を始めます。
その数は約1500点。
メアリーの死後、母校であるオーバリン大学に寄贈されました。
会場入ってすぐのところに展示されている
石川豊信『提灯と傘を持つ佐野川市松』(1744~51)は
メアリーが日本で最初に手にした作品、コレクションのスタートとなった作品と言われています。
展覧会は5章だてで、年代順に作品が並びます。
浮世絵の始祖といわれる菱川師宣の作品。
墨摺絵から始まった浮世絵は
のちに、一枚一枚筆で彩色を行うようになっていきます。
色彩の追求はその後も続きます。
黒の輪郭線に紅や緑を中心に2、3色を刷った「紅摺絵」
さらには、多色摺木版画技法が完成、「錦絵」の登場となります。
「錦絵」の創始者といわれる鈴木晴信は華奢な美人絵で有名ですが、
実は、武者絵も手掛けていたのです。
しかも、世界で1点しか報告されていない貴重な作品。
是非会場でお確かめください!
錦絵の黄金期の「謎の絵師」東洲斎写楽の作品も(画像右)
葛飾北斎の風景画も注目です。
赤富士の色の鮮やかなこと
エインズワースのコレクションの半数以上を占めるのが歌川広重の作品。
同じ版なのに、摺りが違うものもあるんです。
例えばこちら、両国の花火の様子を描いたもの。
左が初摺、右が後摺です。
会場に並ぶのは約200点。
コレクション全作品1500点の中からのえりすぐりです。
「いいものを選び出す」エインズワースの優れた目と、
コレクションとしてのバランスの良さ
作品への愛情を感じます。
もちろん、保存状態も大変よく、鮮やかな色彩が目に飛び込んできました。
「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション
-初期浮世絵から北斎・広重まで」
大阪市立美術館で
9月29日(日)まで開かれています。