干し柿作りというのは大変なのです。

渋柿を採ってきて皮を剥ぎ縄でぶら下げ軒先に干す。

”言うわ易し行うは難し”、その典型例です。

まず最初に柿を採るところで大方の人はくじけるでしょう。

柿の実は手の届く高さに成っているのはほんの僅かです。

手が届かない高い所を採ろうとして木によじ登り、枝が折れて(柿の木は折れやすい)地べたに落ちる(落ちそうになる)ことを何回か体験するでしょう。

今年のように柿が豊作だと一個や十個や百個や、千個(?)採ったくらいでは柿の木の様相は何も変わらない、そこで途方に暮れて終わる人が約五割。

採ったら採ったで皮剥きが大変な単純ルーチンワークで真っ黒になった爪を見て後悔とともに包丁を投げ捨てて終わる人が約五割。

縄に挟み込んでぶら下げるとき、そもそも柿を採る時の枝の切り方を間違っていたことに気づき、しかしここまで苦労したんだからと軒先ぶら下げ方式から地べた干し方式に作戦変更するが、朝夕出したり片付けたりに「やってられんわー」と癇癪起こして終わる人が約五割。

従って自家製干し柿を作る人は居なくなりました。

よって、スーパーに並ぶ干し柿は非常に高価なんですよ。

先日行った喫茶店で珍しい干し柿を見たので真似して作ってみました。

皮ごと包丁でスライスして干す、それだけ。

めっちゃ簡単。

「手抜き干し柿」と命名しました。

このネーミングは人によっては「手剥き干し柿」と聞こえてしまい、意図せずに本作の価値を上げてしまうかもしれないが、後で「皮剥いて無いじゃん」と文句を言われても私の責任範囲ではない。

干して五日目の今、普通なら白い糖分の結晶と思われるものが表面を覆うはずなんですが、青カビが表面に繁殖しだしている。

この青カビに又、誤った価値観を付加させれないものかと、脳の片隅でタスクは実行中ですが、hさんが見て「これ甘柿で作ったんかい、ハハハ、腐るぞー」って一言。

先達が作り上げてきたものは歴史に検証された確かなもので有り、小手先の思いつきでは簡単に凌駕できないということなんですよ。

原発も一緒ですよ、化けの皮が剥がれるだけで済まないからやめておいたが良いのです。